いま、日本に逃れている難民の保護を揺るがす法改定案(改正法案)が国会で審議されようとしています。政府が法改定を目指すのは、日本で暮らす難民や外国人の処遇に関わる入管難民法で、改定案には⽇本に逃れた難⺠の保護や処遇の悪化につながる内容が多く含まれており、強く懸念しています。
なかでも難民支援協会(JAR)が特に懸念しているのが、難民申請者を迫害の危険のある国へ送り返すことにつながる改定です。
世論の関心が見えなければ、法案は十分な議論もされずに通ってしまいます。このキャンペーンでは、Twitterにてハッシュタグ「#難民の送還ではなく保護を」のもと、法案の問題について伝えるとともに、賛同の声や法改定に反対する声を皆さまから募集します。ハッシュタグに寄せられた声は、国会での審議(4月以降の見込み)までに、JARから各党の議員に報告し、審議を尽くしていただく後押しとします。
◆実施期間:2021年3月15日(月)~3月31日(水)
※3月31日以降もハッシュタグは利用していきますが、この期間に集中的に投稿し、議員への報告は4月上旬から行います。
◆ご参加方法:「#難民の送還ではなく保護を」をつけて法案への意見をTwitterに投稿
投稿は何度でも大歓迎です。JARからは、難民を送還することの問題を様々な角度から伝える投稿を連日行っていきますので、Twitterをお持ちの方はぜひフォローいただき、継続的にご覧いただければ幸いです。いいねやリツイートも拡散の助けとなりますので、ぜひご協力ください。
JARのTwitterはこちら
庇護を求めてきた難民を、適切な審査もなく迫害の待つ地へ送り返す国にしないために。声をあげられるのは日本で暮らす私たちです。
法案へのJARの意見は、難民申請者の送還以外の項目も含めて以下の意見書にまとめています。あわせてご覧ください。
法案へのJARの意見書はこちら
難民の保護や処遇の悪化につながる入管法改正案について
2月19日、政府は入管法の⼀部を改正する法案を閣議決定しました。法案には⽇本に逃れた難⺠の保護や処遇の悪化につながる内容が多く含まれており、強く懸念しています。なかでもJARが特に懸念しているのが、難民申請者を迫害の危険のある国へ送り返すことにつながる改定です。
Q. 難民の送還について、どのような内容に改定されようとしている?
日本は難民条約に加入しており、日本に逃れてきた難民の保護を約束しています。条約は難民を迫害の危険のある国へ送り返してはならないと定めており(ノン・ルフールマン原則)、難民かどうか審査中の難民申請者も含めて、送還は禁止されています。現在の日本の法律(入管法)でも禁止されています。
しかし、今回の法案が通れば、難民申請が3回目の人(難民申請が2度却下され、改めて訴えている人)を手続きの途中でも送り返すことが可能になります。これまで、帰国すれば身に危険が及ぶとして難民申請中の人は、何回目の申請かに関わらず強制送還は保留され、日本で生きながらえることは許されてきましたが、出身国へ送り返されてしまうことになります。
Q. 難民申請が2回却下された人を送り返すことがなぜ問題?
日本の難民認定制度には、難民認定の基準や審査の透明性など問題が多く、 難民として保護されるべき人も日本では難民不認定となっているからです。国連などからも何度も改善を求められています。また、2014年に第6次出入国管理政策懇談会「難民認定制度に関する専門部会」が発表した提言のうち、難民保護に資する提言の多くは実施されていません。これらの指摘に応えず送還を促進すれば、難民が迫害や重大な危害を受けるおそれのある出身国に送還される可能性がさらに高まります。
入管の審査で難民不認定とされ、その結果の取り消しを求める裁判で勝訴し、3回目の難民申請でようやく難民として認定された人も過去にいます。2010年から2018年に難民認定された212人のうち19人は複数回目の申請、難民として認められなかったものの人道的な配慮から在留を認められた1245人のうち384人は複数回目の申請でした。このように審査が不適切なため難民認定されず、やむを得ず複数回申請せざるを得ない人が多くいる現状でこの法案が通れば、送還が命に関わるような危険のある人も送り返すことにつながります。