2023年6月9日、通常国会で議論されていた入管法改正案が可決・成立しました。
入管法改正案をめぐっては難民の立場、この社会への願いなど様々な点から考え、想像し、声を上げた方の存在感がこれまでになく高まりました。#難民の送還ではなく保護を にも賛同して下さった皆さま、本当にありがとうございます。本ウェブサイトでは皆さまの声を少しずつまとめてきましたが、今後も広く共有していきます。
事務所には連日30人以上の方が相談にいらしています。今日明日をなんとか支えながら、あわせて、難民認定に向けた支援が、今回の入管法案可決によりさらに重要になってきます。難民認定すべき人を認定するのは本来国の役割ですが、今後は申請者や支援者が認定のためにいま以上にがんばらないといけない状況です。
たった今の正直なところ、3回目の難民申請中の方からは「どうしたらいいのか」と聞かれて、実際にどう送還を止められるのか、返す言葉はありません。
ただ、国会審議では難民認定制度の課題を裏付ける事実が次々と明らかになりました。難民保護法や独立した第三者機関の設置が、やはり必要です。それに対して寄せられた今回の賛同の声をとても心強く受け止めています。
これからも難民の方の一日一日は続きます。
目の前のニーズに対応し支援しつつ、制度面についても、あきらめることなく働きかけていきます。
(2023年6月13日)
「#難民の送還ではなく保護を」キャンペーンについて
2023年3月7日、日本に逃れた難民の保護を揺るがす法案が再び国会に提出されました。
難民支援協会(JAR)では、難民が公正に保護されるために法案への世論の関心が必要と考え、Twitterキャンペーン「#難民の送還ではなく保護を」を実施しました。
キャンペーンでは、入管法改正案の問題を分かりやすく伝え、賛同の声や法改正に反対する声を集めました。
キャンペーン概要
・期間:2023年3月15日(水)~3月31日(金)
※ その後も国会審議の状況など関連する発信を行いました
・場所:Twitter(JARアカウント)
キャンペーン実施まとめ
2023/3/15~3/31の期間中、ハッシュタグ「#難民の送還ではなく保護を」を設定し、入管法改正案の課題について様々な角度からお伝えする13回の投稿を行いました。これらの投稿に対して、のべ5,363件のリツイートやいいねが集まりました。
また期間中、#難民の送還ではなく保護を を使ったツイートは、425以上のTwitterユーザーから823件寄せられました。またこれらを合わせた、ハッシュタグのあるツイート全体へは、1万2千件を超えるリツイートやいいねの反応がありました。
また、4月以降も当会からは入管法審議の状況に合わせ、参議院での可決まで36件のツイートを行いました。また、大変多くの方からハッシュタグを使った賛同のツイートを寄せていただきました。
法案審議中、議員の方々に、キャンペーンに寄せていただいた声を当会からさまざまなかたちで伝えました。
入管法に関しては他にも複数のハッシュタグが使われ多数のツイートが発信され、当法案に対する市民の関心の大きさを示していたと考えています。
キャンペーンに賛同くださった皆さまに改めてお礼を申し上げます。今後も皆さまの声を広く共有していくべく、取り組んでまいります。
(以下は、キャンペーン時のサイトです。)
日本に逃れた難民の保護を揺るがす法案が再び国会に提出されました。ウクライナ難民の受け入れに光があたり、日本の難民保護の課題が見えにくくなっていますが、状況は廃案となった2021年から変わっていません。難民が公正に保護されるために、法案への世論の関心が必要です。
このページでは、入管法改正案への懸念を持った多くの方々の意見をご紹介します。
合わせて、難民にまつわるよくある質問への回答や、読んでいただきたい記事を紹介しています。
皆さまのご意見
Twitter等で寄せられたご意見を抜粋して掲載しています。(スクロールしてご覧ください。)
メールでいただいたご意見も一部紹介します。
- お世話様です。送還では無く保護を支援します。
- 『#難民の送還でなく保護を』国連から人権に関する問題を指摘されても応じない国、この国が難民鎖国から抜け出せるよう、難民支援協会の活動を支持します。
- 私も支援します。 難民の送還ではなく、保護を!
- Twitterをやっておやりませんので、こちらに賛同を表明いたします。 難民の方が命をとられることにつながる、非人道的な改正法案に、反対します。
当事者からの声:難民申請中の方から
この法改正により大きな影響を受けるのは当事者の方々です。
難民申請中の3人の方に、思うことやご意見を伺いました。
※ お話をうかがったのは2022年。当時、再び入管法改正案が出されるかもしれないと言われていること、前回(2021年/廃案)の法案の内容と当会が考えることについて説明し、意見を聞きました。
難民申請1回目(難民申請約3年)/仮放免中
「2021年の法案のことはニュースなどで知りました。とてもショックで、悲しく思いました。なぜなら内容が国際法に反したものになっているから。」「友人(の申請者)も法案についてとても心配していました。」
「今は仮放免中で収容はされていませんが、大きなかごの中に住んでいるようです」「(法案で監理措置の導入が含まれているが)すでにたくさんの制約があります。私は難民申請の結果を待っているだけです。もう少し難民にオープンになってほしいです」
「もし難民申請者を送り返せば、日本は、彼ら(母国政府)による人権侵害の一部になるでしょう。」「法案の内容をもう一度考え直す必要があると思います。」
難民申請3回目以上/仮放免中
「あまり関心がもたれていないです。日本では『私たちは大切ではない』と言われているかのようです」「難民について考えるとき、日本がどのように見られているか、日本がどのように見られたいかを考える必要があると思います。例えば、アフガニスタンの日本人医師や緒方貞子さんがアフガニスタンの人々に日本の印象を与えたように。」
「難民に関する日本のシステムは透明性がないし、(難民保護の)義務を果たしていません。国際法にも反しています。」「難民と連携し、一緒に議論してほしいです。」
「(私は)逃亡もしません」
難民申請3回目以上/仮放免中
「(審査に関わる)第三者機関が作られるべきです。難民のことに詳しい人が審査にあたって、それで結果がだめで追い出す(強制退去)なら、仕方がないです。第三者機関にならない限り、何があっても抵抗をし続けます。正当防衛だと思います。」「(いまは)不認定ありきです」
「何度もの収容の経験や、送還されそうになったこともありました。今でも送還の場面がフラッシュバックします。」「働くこともできず、体調も悪いです。お金も、生活もありません。ここまで来たら「帰ろう」とふつうは思います。しかし、それでも帰れないのです。他の道はありません。」「自分にはあきらめる権利がありません。ボロボロの中で、頑張らざるをえません。」「あきらめたい、と叫びたいときもあります。」
「前回の廃案のときは日本にいて一番嬉しかったです。」
「若い人たちで関心を持つ人が少しずつ増えていると思います。多少は希望があると思います」
そのほか、2023年3月の法案閣議決定以降、当会に相談をしている難民申請者の方々、特に複数回申請中の方から、不安の声が寄せられています。
- 「この法案が自分にどう影響するのか、説明してほしいです」
- 「難民不認定になり、複数回目の難民申請をしようとしていますが、送還されるのでしょうか。」
- 「何か決まったのでしょうか。心配しています。」
- (4月末に衆議院法務委員会で可決されたニュースを見て)「法案が通ってしまい、とても怖くて何も集中できません。他のことに手がつかないので、思いを聞いて欲しく、JARに電話をしました。」
など
なぜ、入管法改正案は問題なのか?
「難民不認定になった人を強制送還することがなぜ問題なのか?」「日本の難民認定数が少ないのは、難民ではない人ばかりが申請しているからなのか?」など、法案にかかわる疑問にお答えするツイートを行ってきました。
入管法改正案への声明・報道
入管法改正案をめぐる報道は、今年(2023年)だけで971本にのぼります(6月7日19:00現在)。各社の社説でも取り上げられており、批判されています。
※ 2021年の法改正時に比べても約3倍の件数。地方紙での掲載も目立つなど、関心の高さ、問題意識の高さを表している。詳細は2023年入管法改正案:関連報道・声明等一覧(なんみんフォーラム)をご覧ください。
また、国連人権理事会の専門家(特別報告者)による勧告も出されました(2023年4月18日)。
法案の内容が「国際人権基準を下回る」とし「徹底的に見直すことを求め」ています。詳細はこちら。
国際機関やNGOからの意見・記事
弁護士会による声明
日本弁護士連合会 | 出入国管理及び難民認定法改正案に反対する会長声明 | 2023/03/09 |
札幌弁護士会 | 入管法改定案の再提出に反対する会長声明 | 2023/03/09 |
仙台弁護士会 | 入管法改正法案の再提出に強く反対する会長声明 | 2023/02/09 |
山形県弁護士会 | 閣議決定・再提出された入管法改正案に反対する会長声明 | 2023/03/13 |
東北弁護士会連合会 | 入管法改正案の提出に強く抗議する会長声明 | 2023/03/23 |
東京弁護士会 | 入管法案の再提出に反対する会長声明 | 2023/01/17 |
東京弁護士会 | 入管庁公表資料「現行入管法の課題」に対し抗議し、再提出された入管法改定案の撤回を求める会長声明 | 2023/03/15 |
第一東京弁護士会 | 出入国管理及び難民認定法改正案に反対する会長声明 | 2023/03/28 |
第二東京弁護士会 | 出入国管理及び難民認定法改正法案の再提出に反対する会長声明 | 2023/03/01 |
神奈川県弁護士会 | 出入国管理法等一部改正案の再提出に反対する会長談話 | 2023/02/02 |
神奈川県弁護士会 | 改めて今般の出入国管理法等一部改正案に反対する会長談話 | 2023/05/16 |
千葉県弁護士会 | 入管法改正案の再提出に反対する会長声明 | 2023/02/21 |
埼玉県弁護士会 | 入管法改正案に反対する会長声明 | 2023/03/08 |
茨城県弁護士会 | 出入国管理及び難民認定法改定案提出に関する会長声明 | 2023/02/02 |
栃木県弁護士会 | 出入国管理及び難民認定法改正案に反対する会長声明 | 2023/05/18 |
群馬県弁護士会 | 出入国管理及び難民認定法改正案再提出に反対する会長声明 | 2023/02/20 |
静岡県弁護士会 | 「出入国管理及び難民認定法」改正案に反対する会長声明 | 2023/03/24 |
山梨県弁護士会 | 出入国管理及び難民認定法改正案に反対する会長声明 | 2023/04/07 |
長野県弁護士会 | 入管法改正法案に反対する会長声明 | 2023/04/11 |
関東弁護士会連合会 | 入管法改定案の再提出に反対する理事長声明 | 2023/01/20 |
愛知県弁護士会 | 入管法改定案の再提出に反対する会長声明 | 2023/02/08 |
岐阜県弁護士会 | 出入国管理及び難民認定法改正案に反対する会長声明 | 2023/05/10 |
三重弁護士会 | 出入国管理及び難民認定法改定法案に反対する会長声明 | 2023/03/16 |
中部弁護士連合会 | 入管法改正案の再度の提出に反対する理事長声明 | 2023/03/06 |
滋賀弁護士会 | 出入国管理及び難民認定法改正案に反対する会長声明 | 2023/03/15 |
京都弁護士会 | 出入国管理及び難民認定法の改悪に反対する会長声明 | 2023/05/22 |
大阪弁護士会 | 出入国管理及び難民認定法改定案再提出に反対する会長声明 | 2023/02/01 |
兵庫県弁護士会 | 「入管法改定案」の再提出に改めて反対する会長声明 | 2023/02/27 |
和歌山弁護士会 | 出入国管理及び難民認定法改正案に反対する会長声明 | 2023/04/28 |
近畿弁護士連合会 | 政府再提出の出入国管理及び難民認定法に反対する理事長声明 | 2023/04/19 |
広島県弁護士会 | ノン・ルフールマン原則等に反する入管法改正案に反対し国際基準に沿った出入国管理・難民保護制度の確立を求める会長声明 | 2023/02/22 |
岡山弁護士会 | 再提出された出入国管理及び難民認定法改正案に反対する会長声明 | 2023/04/20 |
福岡県弁護士会 | 入管法改正案の再提出に強く反対し、国際的な人権水準に沿った真の入管法改正を求める会長声明 | 2023/03/02 |
長崎県弁護士会 | 出入国管理及び難民認定法改正案に反対する声明 | 2023/04/21 |
全国難民弁護団連絡会議 | 難民の強制送還条項等を含む入管法案の再提出にあらためて反対し、国際基準に沿った包括的な難民保護法制の実現を求める声明 | 2023/01/13 |
全国難民弁護団連絡会議 | 声明「法改正の前に難民認定手続の正常化を求める~柳瀬参与員と浅川参与員の発言から明らかになった異常性~」 | 2023/05/29 |
入管法改正案に対する社説
信濃毎日新聞 | 入管法改定案 ゆがみを広げかねない | 2023/01/13 |
京都新聞 | 入管法改正案 制度の根幹見直しこそ | 2023/01/19 |
信濃毎日新聞、静岡新聞 | 「入管難民法改正案」 認定手続きの是正が先だ 在留特別許可の拡大を | 2023/02/09 |
河北新報 | 入管法改正案の再提出 人権軽視、改善には程遠い | 2023/02/20 |
沖縄タイムス | 入管法改正案 人権守る議論を尽くせ | 2023/02/25 |
山陰中央新報 | 入管難民法改正案 抜本改革につなげたい | 2023/02/27 |
宮崎日日新聞 | 入管難民法改正案 ◆人権尊重の仕組みが優先だ◆ | 2023/02/27 |
中国新聞 | 入管難民法改正案 抜本見直し なぜできぬ | 2023/02/28 |
徳島新聞 | 入管法改正提出へ 抜本修正し国際基準に | 2023/03/02 |
信濃毎日新聞 | 入管法改定案 権限さらに強めかねない | 2023/03/03 |
北日本新聞 | 入管難民法改正案/人権軽視 根本変わらぬ | 2023/03/06 |
毎日新聞 | 入管法の改正案 人権軽視への反省見えぬ | 2023/03/09 |
東京新聞 | 入管法改正案 人権軽視こそ改めねば | 2023/03/09 |
中日新聞 | 入管法改正案 人権軽視こそ改めねば | 2023/03/09 |
朝日新聞 | 入管法改正案 収容の適正化が先決だ | 2023/03/10 |
高知新聞 | 【入管法改正案】人権の視点を忘れるな | 2023/03/13 |
琉球新報 | 入管法改正案再提出 反省なき改悪でしかない | 2023/03/16 |
神奈川新聞 | 入管法改正案 人権軽視の改悪許さぬ | 2023/03/20 |
愛媛新聞 | 入管法改正案 徹底すべきは送還でなく保護だ | 2023/03/21 |
熊本日日新聞 | 入管難民法改正案 命と人権の保護最優先に | 2023/03/21 |
秋田魁新報 | 入管難民法改正案 国際基準に沿う議論を | 2023/03/28 |
信濃毎日新聞 | 難民認定の手引 現状改めぬかたくなさ | 2023/03/28 |
南日本新聞 | [入管難民法改正] 認定手続きの是正こそ | 2023/03/29 |
新潟日報 | 入管法改正案 難民保護に向き合わねば | 2023/03/30 |
静岡新聞 | 入管難民法改正 受け入れ促進に転換を | 2023/04/03 |
京都新聞 | 難民認定の手引 現状正当化のためでは | 2023/04/05 |
北海道新聞 | 入管法改正案 難民の門戸なぜ狭める | 2023/04/06 |
信濃毎日新聞 | 入管法改定案 制度の是正に逆行する | 2023/04/18 |
西日本新聞 | 入管法の改正案 難民の認定を国際標準に | 2023/04/23 |
毎日新聞 | 入管法改正案の審議 根本から見直しが必要だ | 2023/04/24 |
沖縄タイムス | 入管法改正の審議 拙速な採決は許されぬ | 2023/04/25 |
朝日新聞 | 入管法改正案 課題に背を向けた国会 | 2023/04/28 |
北海道新聞 | 入管法改正案 拙速な採決認められぬ | 2023/04/28 |
徳島新聞 | 入管法改正案採決 数の力で強行 許されない | 2023/04/28 |
信濃毎日新聞 | 入管法改定案 重大な懸念はらんだまま | 2023/04/29 |
毎日新聞 | 入管法改正案の審議 問題に向き合っていない | 2023/05/02 |
東京新聞 | 入管法改正案 反対論のうねりを見よ | 2023/05/02 |
中日新聞 | 入管法改正案 反対論のうねりを見よ | 2023/05/02 |
京都新聞 | 入管法改正案 人権侵害を改める熟議こそ | 2023/05/02 |
琉球新報 | 入管法改正衆院委可決 制度の根本議論し直せ | 2023/05/02 |
佐賀新聞 | 入管法改正 根本的解決にならない | 2023/05/06 |
熊本日日新聞 | 入管難民法改正案 国際基準踏まえ見直しを | 2023/05/06 |
宮崎日日新聞 | 入管難民法改正 ◆構造的な問題は解決しない◆ | 2023/05/06 |
読売新聞 | 入管法改正案 外国人の長期収容解消を急げ | 2023/05/10 |
神奈川新聞 | 入管法改正案 参院では抜本的議論を | 2023/05/10 |
福井新聞 | 入管難民法改正案 国際基準に沿う見直しを | 2023/05/12 |
信濃毎日新聞 | 入管法の改定 野党の対案踏まえ議論を | 2023/05/13 |
高知新聞 | 【入管法改正案】迫害の懸念が尽きない | 2023/05/13 |
河北新報 | 入管法案、参院審議入り 国際基準踏まえた見直しを | 2023/05/14 |
信濃毎日新聞 | 仮放免の子ども 法案とは別に在留許可を | 2023/05/19 |
北海道新聞 | 入管法改正案 抜本的な修正が必要だ | 2023/05/20 |
信濃毎日新聞 | 入管法改定案 送還強化の根拠揺らぐ | 2023/05/28 |
産経新聞 | 入管法改正案 長期収容の是正を確実に | 2023/05/29 |
朝日新聞 | 入管法改正案 根拠への疑義に答えよ | 2023/06/01 |
信濃毎日新聞 | 入管法改定案 採決の強行はあり得ない | 2023/06/03 |
北海道新聞 | 入管法の審議 揺らいだ政府案の前提 | 2023/06/05 |
東京新聞 | 入管法改正案 立法根拠に残る曖昧さ | 2023/06/06 |
中日新聞 | 入管法改正案 立法根拠に残る曖昧さ | 2023/06/06 |
中国新聞 | 入管法改正案採決へ 人権を守る制度と言えぬ | 2023/06/06 |