2018年2月26日、衆議院議員 中川正春議員、衆議院議員 初鹿明博議員、参議院議員 相原久美子議員、参議院議員 石橋通宏議員の同席の下、茨城県牛久市にある東日本入国管理センター(以下、牛久センター)にて面会活動を行っている団体・個人13名でセンターとの意見交換を行いました。以下、意見交換の中で「概数として」提供された数字、その後の追加質問に対する回答もあわせてご報告いたします。
過去の同様の意見交換(2016年9月21日に実施)、収容施設全体に関し公開されている数字から以下のような特徴を読み取ることができます。特に、①、②については牛久のみならず、収容施設全体の傾向でもあります。
① 全国の収容施設で被収容者数が増え、収容が長期化している
ある特定の日時点での牛久における被収容者数は、2013年257人から2018年の342人と増加しています。また、1年以上収容されている人は2016年の11人に比べ、2017年は104人と増えています。最長で収容されている人は4年3か月です。加えて2017年の仮放免の不許可数は70%となり、長期収容の一因であることが考えられます。この傾向は、牛久センターだけではなく、全国の収容施設に共通する傾向です。
(2016年の訪問時、2018年2月26日に東日本入国管理センター訪問時にそれぞれ概数として提供された数より作成)
② 全国の収容施設で収容される難民申請者が増加している
2016年の被収容者253人中、難民申請者は167人(66.0%)でしたが、2018年には342人中240人(70.1%)と増加しています。また、成田空港支局からの牛久センターへの移送も、2016年の88人から203人に増えています。日本全国の空港での難民申請へのアクセスは厳しく、一次庇護上陸許可は2016年に1件、2017年に2件のみが許可されました。また、仮滞在の許可数も少なくなり、800件近い審査対象者がいますが、許可率は約4%(2017年)にとどまっています。空港で難民申請をしたほとんどの人が、そのまま収容されていることが伺えます。
(左:2016年の訪問時、2018年2月26日に牛久センター訪問時にそれぞれ概数として提供された数字より作成)
(右:第193回国会・質問第146号 参議院議員石橋通宏議員「難民認定状況に関する質問主意書」2017年6月15日、出入国管理統計より作成)
③ 収容施設外での診療が減っている
被収容者数は増えていますが、収容所外(庁外診療)は2016年以降減っています。また、医師に対する願箋(医師の診療行為に関する申出書)提出後、診察まで3日以上を要している件数が2,341件を超えており、平均14.4日、最長では54日の待機期間となっています。また、願箋(被収容者申出書)は警備官室に保管され、被収容者が自ら入手できるところには置かれていないことも分かりました。医療へのアクセスに懸念があります。
(2016年の訪問時、2018年2月26日に牛久センター訪問時にそれぞれ概数として提供された数字より作成)
④ 被収容者数、予算ともに増加しているが、職員数は増えていない
以下の表のとおり、被収容者数と予算は増えていますが、民間ポストと合わせた職員数は増えていません。職員1人における負担が増えていることが予想されます。
(2016年の訪問時、2018年2月26日に牛久センター訪問時にそれぞれ概数として提供された数字より作成。2017年度予算は年度途中の数字)
以上の特徴から、全国の収容施設においては、この数年間で被収容者数が増加し、1年以上の長期収容も非常に増えているといえます。また、全国で難民申請者の収容が増え、港湾での一時庇護上陸許可は数件しか認められず、9割以上は難民申請したものの仮滞在は認められていません。
牛久センターについては、成田空港から直接へ移送された難民申請者も増加しています。加えて、医療へのアクセスについては(警備官の聞き取りを経て)、医療に関する申し出書を提出し、3日以上を経て施設内で診察を受けている人が多数であり、施設外での診察が減っていることも分かりました。
これらの特徴は(退去強制令書の発付後の)収容が無期限で期限の定めがないこと、収容の必要性・相当性を判断する独立した機関がないこと、収容施設の処遇についてモニタリングを行う独立した機関がないことにも原因があると考えられます。そもそも、難民申請者を収容することは相当ではなく、その観点からも改善が求められます。今後も難民支援協会は関係者と協力し、収容を前提としない制度作り、そのための関係者と連携した支援などを通じてよりよい在り方を探っていきたいと考えます。
最後になりましたが、面会の実施にあたりご協力くださった皆様に感謝申し上げます。
以下、2018年2月26日の訪問時に東日本入国管理センターより概数として文書にて提供された回答、さらに追加質問に対して2018年4月26日に得られた回答(一部掲載)です。
1. 予算・人員・施設概要等
(1) 予算(2017年度・2018年度)
答 平成29年(2017年)度 約17億5千万円(予算額)
平成30年(2018年)度 未定
※法務総合研究所牛久支所に係る経費を除いた額。
※平成29年度予算額には平成28年度補正2号の繰越分及び平成29年補正1号を含む。
(2) 職員数(外部委託事業があるのであれば、その内訳を含む)2017年度
答 146人(民間委託状況:モニター監視業務2ポスト、収容所の動静監視・処遇支援業務9ポスト、面会受付等業務7ポスト、庁舎警備業務1ポスト)
(3) 収容スペースの概要(前回訪問時と変化があれば)
① 現在利用されているブロック数
利用されていないブロック数
答 一般ブロック8(1~3・5~9寮)、保護室・隔離室 1(4寮)
② センター内を全面禁煙にした時期/元喫煙者に対して段階的禁煙・医療措置等の対応はあったか?またどのような内容か。
答 平成29年6月19日。
全面禁煙実施の3か月前から、収容場内に案内文を提示した上、被収容者に対し、能動及び受動喫煙による健康被害を防止するための措置であることを周知して段階的な自主禁煙を促し、禁煙を望む者については、全面禁煙実施前に禁煙部屋に移室するなどの対応を執りました。
なお、喫煙する被収容者の中には、禁煙パイポ等を使って自主的に禁煙する者が散見されました。
全面禁煙実施後、これまで、禁煙に係る医療措置は行っていません。
(4) 被収容者の一日のスケジュールに、前回訪問時と比較して変更点はあるか?
答 入国者収容所東日本入国管理センター被収容者処遇細則(訓令)によって日課を定めているところ、平成29年6月5日に同細則を改訂し、「朝の点呼」及び「昼食」の時間を変更しました。現在の日課は以下のとおり。
7時 起床
7時30分 清掃
8時 朝食
8時30分 朝の点呼(変更前:8時40分)
11時40分 昼食(変更前:11時30分)
16時30分 夕食
17時 夜の点呼
22時 就寝
2. 被収容者の内訳(現時点)
(1) 総人数・男女別人数
答 342人(うち女性は0人)(平成30年2月26日現在)
(2) 性的マイノリティの人数
答 1人(性的マイノリティを自称する者)(平成30年2月26日現在)
(3) 未成年者の被収容者の人数(18歳以上と18歳未満でそれぞれの人数)
答 0人(平成30年2月26日現在)
未成年者については過去1年に収容実績があればその年齢別内訳と収容期間
答 ①18歳(205日間)※平成28年から
②18歳(28日間)
③18歳(103日間)
③19歳(113日間)
(4) 国籍別内訳
イラン 49人
スリランカ 37人
フィリピン 28人
中国(本) 17人
ブラジル 17人
ペルー 17人
ミャンマー 17人
トルコ 16人
ナイジェリア 16人
ガーナ 15人
その他 113人 (平成30年2月26日現在)
(5) センターに来る前の収容先(移送元)内訳
① 東京入国管理局
② 成田空港支局
③ 名古屋入国管理局
④ 仙台入国管理局
⑤ 札幌入国管理局
⑥ その他
答
① 東京入国管理局 241人
② 成田空港支局 203人
③ 名古屋入国管理局 42人
④ 横浜支局 16人
⑤ 札幌入国管理局 1人
⑥ その他 2人(仙台入国管理局・牛久警察署各1人)
(平成29年の入所者数)
(6) 庇護を求めている者(難民申請を行っている者)の数
① 難民認定申請手続
② 審査請求手続(異議申立手続)
③ ①②は終了しているが、難民関係訴訟を行っている者
答
① 難民認定申請手続 104名
② 審査請求手続(異議申立手続) 138名
③ ①②は終了しているが、難民関係訴訟を行っている者 2名
(平成30年1月末現在)
(7) 官費による架電許可本数、許可の理由別内訳
なし(平成29年)。
(8) 収容期間別内訳
① 1日以上3か月未満 95人
② 3か月以上6か月未満 49人
③ 6か月以上1年未満 96人
④ 1年以上1年6か月未満 81人
⑤ 1年6か月以上2年未満 13人
⑥ 2年以上2年6か月未満 8人
⑦ 2年6か月以上3年未満 0人
⑧ 3年以上 2人
(平成30年1月末現在)
A. 被収容者のうち最長収容期間の者の収容期間
答 1,582日(4年3月)(平成30年2月26日現在)
B. 平均収容期間
答 149日(平成29年)
(9) 被収容者の類型別収容期間の内規はあるのか?あるなら、内規を示されたい。
答 なし。
3. 自殺・自殺未遂・自傷行為に関して
(1) 被収容者の A自殺件数 B自傷行為(自殺未遂含む)件数
① 2016年
② 2017年(現時点まで)
答 A 自殺件数
① 2016年 なし。
② 2017年 なし。
答 B 自傷行為件数(うち自殺未遂)
① 2016年 11件 (うち自殺未遂3件)
② 2017年 7件 (うち自殺未遂1件)
(2) カウンセラー、精神科医の診療体制と利用実績
答 診療体制
臨床心理士のカウンセリング 週1回
精神科医(非常勤)の診療 月2回
利用実績(平成29年) カウンセリング 48回、延べ131人
精神科診療 21回、延べ115人
4. 仮放免申請について
(1) 仮放免申請数
①2016年
②本年現時点まで
答 2016年 786件
2017年 1,053件
(2) (1) のうち、申請の許可処分・不許可処分の件数
答 2016年 許可378件 不許可375件
2017年 許可224件 不許可803件
※審査が越年したものもあり、申請件数と処分の合計数は一致しない。
(3) (1) のうち、仮放免申請から結果が出るまで
①1か月未満
②1か月以上2か月未満かかった件数
③2か月以上3か月未満かかった件数
④3か月以上かかった件数
⑤最長期間
⑥平均処理期間
答 2017年 ①1か月未満 28件
②1か月以上2か月未満かかった件数 627件
③2か月以上3か月未満かかった件数 371件
④3か月以上かかった件数 1件
⑤最長期間 93日
⑥平均処理期間 56日
平成28年は集計しておらず、回答することは困難です。
5. 送還者
(1) 自費被送還者、国費被送還者
①2016年
②2017年(現時点まで)
答 ① 2016年
自費 5名
国費 42名(3名)※下記(3)の数
59条送還 4名
② 2017年
自費 21名
国費 61名
59条送還 3名
(2) 送還忌避者の被送還数
①2016年
②2017年(現時点まで)
答
① 2016年 28名(3名)※下記(3)の数
② 2017年 23名
(3) (1) ①② (2) ①②のうち、チャーター機による被送還数
答 上記(1)(2)括弧内のとおり。
6. 医療体制(一般)
(1) 医療体制の詳細(勤務医(常勤、非常勤別))
前回訪問時と比較して変更点はあるか?
答
内科:月~金
常勤医師1名
非常勤医師13名(日替わり)
常勤看護師3名(うち1名は事務補佐員で週4日勤務)
薬剤師1名
歯科:週1回(水曜日)
非常勤歯科医師3名及び非常勤歯科衛生士3名(日替わり)
精神科:月2回(第2・4火曜日)
非常勤医師2名(日替わり)及び助手1名
変更点はありません。
(2) 庁内診療数・庁外診療数
①2016年
②2017年(現時点まで)
答 ① 2016年 庁内診療 2,917件
庁外診療 580件
② 2017年 庁内診療 3,347件
庁外診療 551件
(3) (2) のうち、医療費を被収容者の自己負担とさせたケースはあるか?
あるなら、その件数と理由
答 歯のブリッジ作成を希望し、外部の歯科を受診したケースが1件あります。
(4) 医師に対する願箋(医師の診療行為に関する申出書)は、センター内の被収容者が自分の意志で手に取れるところに設置されているか?そうでない場合は、被収容者が希望すれば直ちに手に出来るシステムになっているか?願箋についての仕組みはどのように説明されているか。文書はあるか。
答 被収容者申出書は警備官室に保管しており、医療に関するものも含め、被収容者から処遇に関する申し出があったときは、職員がその内容を聴取した上、当該被収容者に申出書を交付しています。
申出書の交付・提出等に関する文書は作成していませんが、入所時、収容所内の日課等について説明するほか、入所後も被収容者から申出書に関する質問があれば、その都度、職員が説明しています。
(5) 願箋が提出されてから3日以内に医師による診療を受けられなかった件数
①2016年
②2017年(現時点まで)
答
① 2016年 1,962件
② 2017年 2,341件
上記のとおりですが、被収容者の訴える症状によっては、看護師が症状を確認し、救急搬送にまでは至らないものの、早期に診療を受けさせるよう指示のあったものについては、申出書の提出当日又は翌日には庁内診療を受診できるようにしています。
(6) 例えば、仮放免中などに大きな病気を患い、病院治療を行った後、経過観察などとなって、定期的な通院を医師から求められ、定期健診を行っていた人が、突然収容されてしまい、通院できていないケースが見受けられる。
①そのような例について、貴センターで何件把握しているか?
答 そのような統計をとっておらず、回答することは困難です。
(7) 被収容者の何パーセントの人が睡眠導入剤を投与されているのか?
答 平成30年2月8日現在、被収容者337人中65人(19.3パーセント)に睡眠導入剤が処方されています。
7. 通訳について
(1) 被収容者とのコミュニケーションにおいて通訳を利用した回数と言語、通訳に支払った経費の合計
答
回数 1,209回
言語 トルコ語、シンハラ語、ペルシャ語、フランス語、英語、ミャンマー語、タガログ語、ベトナム語、ネパール語、スペイン語、中国語、ベンガル語、アラビア語、ポルトガル語、タイ語、ヒンディー語、ウルドゥー語、ベトナム語、パンジャビ語、モンゴル語、タミール語、インドネシア語、イボ語
経費 約280万円
(平成29年4月から平成30年1月末まで)
8. オリエンテーションについて
(1) 東日本入国管理センターに移管された時点で、どのような内容の、どのようなオリエンテーションが、どのような言語で行われているのか。
答 入所時には、収容所内の日課や収容所内に持ち込みが禁止されている物品の説明、身体検査、所持品検査、体温測定や血圧測定などの健康状態の確認を行っています。
入所者の使用言語は、あらかじめ移収受け先から情報を得ており、日本語を解する者には日本語で、日本語を解さない者には、原則同人の母国語の電話通訳を介して行っています。
(2) 「医師に対する願箋」、「所持金のない人に対する生活必需品等の官費による支給」、「官費による架電」、「信教の自由への配慮」など、入管で実施されている配慮や制度があるが、それらについて、被収容者に配布する「手引き」のような書面があるか?あるとしたら、複写の交付を希望する。
答 「手引き」は作成していません。入所時に職員が口頭で説明しています。
(3) オリエンテーションの内容につき、内部のマニュアルは存在しているものと思われますが、複写の交付を希望する。
答 入所手続におけるマニュアルは作成していません。
9. 帰国の勧奨について
手続中の難民認定申請者に対して、東京入国管理局難民調査部門若しくは同審判部門(難民審査参与員事務局)に所属していない貴センター職員(難民認定審査に携わっていない職員)が、「帰国を勧奨する」ことはあるのか?
答 入管法上、難民認定申請中は送還を停止することとなるので、難民認定申請中の被収容者に対し、職員が積極的に帰国を促すことはありません。
他方、退去強制令書の執行者たる入国警備官には、同令書が発付された者を速やかに送還することが求められていることから、双方の手続の関係性等を考慮したうえで、すでに退去強制令書が発布されている難民認定申請中の者に対しては、心情把握等のために入国警備官が面接する際に、「あなたには既に退去強制令書が発布されているので、難民として認められなかったときは帰国するように。」という趣旨の説明をする場合はあります。
10. 誓約書について
本年11月頃から、被収容者に対して、「ニット帽等の着用は、居室と運動場に限る(防寒用として使用し、共用スペースでは着用不可)」等の誓約書に署名を求めているとの報告があるが、最近3カ月で被収容者に署名を求めた誓約書の数と内容について。
答 160件(平成29年11月から本年2月8日まで)
11.外部との連絡
(1) 外部との電話設置台数・許可時間帯について前回訪問時より変更点はあるか?
答 各ブロックの電話設置数:
1寮:Aブロック3台、Bブロック3台
2寮:Aブロック3台、Bブロック3台
3寮:Aブロック3台、Bブロック3台
4寮:なし
5寮:Aブロック3台、Bブロック3台
6寮:Aブロック1台、Bブロック1台
7寮:Aブロック4台、Bブロック2台
8寮:Aブロック4台、Bブロック2台
9寮:Aブロック4台、Bブロック2台
電話可能時間
午前9時20分から午前11時40分まで (毎日)
午後1時00分から午後 4時30分まで (毎日)
午後7時00分から午後 9時00分まで (日替わり)
変更点はありません。
(2) 「公費による架電回数」(2016年、2017年)
答 2016年 なし。
2017年 なし。
(3) 公費による架電が出来る場合と出来ない場合の判断基準は、何か?
答 上記(1)の時間以外に外部通話を希望する場合や、所持金がなく電話が掛けられない者などについては、被収容者申出書により対応しています。
なお、平成29年中に官費での外部通話を希望する申出はありません。
12.面会について
(1) 面会スペースの数・詳細・面会方法について、前回訪問時より変更はあるか?
答 変更点はありません。
(2) 面会件数(うち領事面会数・弁護士面会数も示されたい)
①2016年
②2017年
答
2016年 14,250件(うち領事面会33件、弁護士面会2,241件)
2017年 14,880件(うち領事面会76件、弁護士面会2,263件)
13. 食事について
食事の予算は1食あたりいくらか。また、業者選定にあたり競争入札はされているか。
答 朝食180円
昼食220円
夕食300円 計700円(税抜き)(平成29年)
給食業者の選定は一般競争入札を実施しています。
また、4月26日付の書面にて以下の情報を入国管理局より回答いただきました。
<被収容者の医療・健康>
1. 意見交換会で、「牛久での受け入れに際して、①血圧測定、②脈拍測定、③体重測定、④身長測定、⑤レントゲン撮影、⑥尿検査、⑦血液検査を行う。そのうち①~④は移送された当日に行われ、⑤~⑦は、牛久受入れ後、一か月以内にある程度の人数をまとめて行う。」とのご説明を頂きました。その点について、以下お尋ねします。
① 収容後、収容者全員が一か月以内に上記の健康診断を受けているということでよいか。
答 血圧測定、脈拍測定、体重測定及び身長測定は、入所当日に入所者全員に対して実施しています。X線検査については、受け入れ先において検査事実がない、又は、1年以上実施していない場合に、検査を拒否する者以外を対象として、概ね一か月以内に実施しています。
また、尿検査及び血液検査については、拒否する者以外を対象として、概ね一か月以内に人数をまとめて実施しています。なお、平成30年3月19日から、新規入所者については、希望すれば尿検査及び血液検査を入所後速やかに行い、その結果を確認後、早期に医師による診察を行っています。
② 健康診断の結果は本人に書面で通知されているか。
答 検査結果は、書面で本人に通知しています。
③ 上記検査で、高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病の可能性が指摘された場合、本人が希望すれば医師の診断のもと、継続的治療を受けることができるのか。
答 検査の結果、問題があれば、医師の診療を受けてもらい、その後の診療は、医師の指示に基づいて、対応していくことになります。
④ 入所時に本人申告または通院歴により、下記の病気に罹患していたことが特定できた者の数 高血圧、糖尿病、高脂血症、心臓病、がん、HIV-AIDS、肝炎、結核(既往症含む)
答 入所時の本人申告または通院歴を端緒として、医師による診療を受けた結果、お尋ねの病気であることが判明することはありますが、その統計はとっていないことから、お答えすることは困難です。
⑤ 収容が長期化する被収容者に対して、一定期間経過後(例えば半年、1年経過した後など)の健康診断は行われるのか?
答 入所後、血液検査・尿検査は半年に一度、X線検査は1年に一度、希望者に対して実施しています。
2. 入所前に被収容者に対して行われるスクリーニングについて、以下ご質問です。
意見交換会で対象者の健康診断や既往歴、医療情報の引継ぎなどでスクリーニングを行われているとのことであったが、その結果、仮放免となる人はいたか。居た場合は人数や年齢(年代)を示されたい。
答 お尋ねの件については、統計をとっていないことから、お答えすることは困難です。他方、東日本入国管理センターに入所後、直ちに仮放免しなければならないような病気を罹患している者については、東日本入国管理センターに移収される前に、仮放免を許可する対応が執られています。
3. 衛生用品(髪や髭を剃る電動シェーバー)の共用についてお伺いします。
被収容者に貸与されている電気シェーバーが、利用する被収容者同士で共有されているとの報告を受けている。また、刃こぼれによる負傷の訴え、また負傷時に不衛生であること、感染症などへの懸念について訴えを受けている。これらの点について、センターで把握をされているか。また、共用による不衛生な状態を防ぐために、センターとしてどのような対策をとられているか。
答 東日本入国管理センターにおいて、被収容者に貸与している電気シェーバーは、共用のものと、感染症罹患者専用のものがあります。また、被収容者からの申出に応じて、私物の電気シェーバーの使用も認めています。
被収容者から「電気シェーバーを使用中に負傷した。」旨の訴えが数件あったことを把握しているところ、負傷を確認したときは、看護師による処置等を適切に行っています。
共用の電気シェーバーは、使用・回収の都度消毒を行い、消毒した衛生的な状態のものを貸与しており、感染症罹患者専用の電気シェーバーについては、他の被収容者とは共用させていません。
4. 施設内では内科や歯科、精神科などの診療が行われているとの説明がありました。これについてご質問します。
申し出から願箋が渡されるまで、願箋を提出してから、受診できるまで、それぞれについて伺いたい。平均何日間か、また、最も長く待たされたケースについて、何日間だったか。(昨年一年間の実績ベースで結構です。)
答 (1) 被収容者が診療を申し出てから、診療申出書を私までの平均日数及び最長期間についての統計はとっていないことから、お答えすることは困難です。被収容者から診療に関する申出があったときは、その内容を聴取した上、その都度、被収容者に診療申出書を交付しています。
他方、被収容者の中には、診療結果が気に入らなかったり、希望通りの薬が処方されなかったなどの理由によって、医師の指示等に従わず、同じ症状で直ちに再診療を求めるものもいるため、そのような場合には、本人の求めに応じて漠然と再診療させるのではなく、処方された薬の服用等、医師の指示通りの処置を講じることが肝要ですので、その旨の指導を優先させることがあります。
いずれにしても、医師の指示通りの処置を講じている中、体調が悪化するようなことがあれば、速やかに庁内診療を受診させており、急を要するような場合は、被収容者から診療申出書の提出がなくても、外部病院に連行する又は救急搬送を要請するなどしています。
(2) 平成29年度の診療申出書を提出してから受信までの平均日数は、14.4日です。また、診療までに要した最長期間については、53日で、その理由は、申出人が受診を希望した整形外科医による診療が混み合っていたためです。
5. この冬、12月1日からようやくつけられた暖房が、7時~12時、15時~22時以外の1日12時間切られていたとのことで、毛布を何枚重ねても寒くて眠れないなどの切実な訴えが被収容者の方々から続々とあがってきています。この点について、以下2点ご質問です。
① 質問が実際には何度以上に保たれているのか、温度計を置いて、客観的なデータをお調べいただきたい。また、例外的に上記以外の時間帯に暖房を入れた日があるならば、いつ、何時間かけたのか。
答 室温は、吸排気口に設置されているセンサーによって測定され、機械室において委託業者が常時監視しています。冬季の設定温度は、国が決定した「冬季の省エネルギーの取組について」に基づき、19℃程度としているところ、実際には、現場からの要望により24℃前後で運用しています。
また、上記運転時間外に暖房運転を行った時期及び時間は、記録を作成していないため、委託業者から聞き取りしたところ、平成29年度においては、12月1日から1月4日までの間は12時から15時までの暖房運転を中止していましたが、1月5日以降はこの時間帯も継続して暖房運転を行い、さらに、1月5日から2月2日までの間は、6時から7時及び22時から24時の間も暖房運転を行ったとのことでした。
② 被収容者の中には衰弱した方々が大勢おります。なぜ、この冬から11月の暖房が取りやめになったのか、真冬でも1日12時間で暖房を切るのか、理由をお知らせください。
答 東日本入国管理センターにおいて、暖房運転は、少なくとも平成23年度以降は、12月から行っているところ、予算事情が許せば、室温が低い場合、11月に「試運転」として暖房運転をすることがあります。
平成29年度については、①前年の冬季、多くの被収容者が、日中、薄着(Tシャツ等)で過ごしていたこと、②12時から15時の昼間の時間帯は、12時までの暖房運転の余熱で室温が比較的保たれることを考慮し、12時から15時までの間の暖房運転を中止し、その分、厳寒期の早朝・夜間(6時から7時及び22時から24時)に暖房運転をすることとしたものです。
<ベトナム人死亡事件について>
6. ベトナム人死亡事件においては、亡くなった方の症状にも関わらず、救急車を呼ばなかったことは大きな問題だと考えます。この点についてご質問です。
① 具体的にどのような場合に救急車を呼ぶように口頭指示をしたのか。
② ベトナム人死亡事件後に、「体重が急変したり、判断に迷う場合は、ためらうことなく、躊躇することなく、救急車を要請するように」と口頭で指示したとおっしゃっていましたが、これを文書にて全職員に通知する予定はないのか?
答 ちゅうちょすることなく救急車の出勤を要請するよう、また、家族に同様の症状が出た場合と同様の対応をするよう口頭で指示をしたほか、平成30年3月5日付け本省局長名による指示文書を発出し、改めて被収容者の健康状態及び動静把握の徹底について指示するとともに、体重測定等の結果に異状が見られなくとも、安易に重篤な症状にはないと判断せず、ちゅうちょすることなく救急車の出動を要請することを指示しています。
<仮放免の拒否判断について>
7. 仮放免許可申請の処理日数について
① 複数回仮放免許可の申請をした場合、仮放免許可の申請を最初に出した日から起算しているものか。それとも最後の申請を起算しているものか。
答 処理日数は、複数回申請の場合であっても、申請ごとに起算しています。
② 複数回、仮放免許可の申請を行っている者について、初回申請を行ってから、最終的な仮放免までに要した平均期間と、最長で要した期間を示されたい。
答 お尋ねのような形での統計をとっていないことから、お答えすることは困難です。
<難民認定申請中の被収容者について>
8. センターへ移送されてきた時点での難民認定申請中の人数を、収容先(移送元)別に示されたい。
答 受け入れ先から、難民認定申請の有無についての情報は得ているものの、お尋ねのような統計をとっていないことから、お答えすることは困難です。
<送還について>
9. 2016年、2017年の自費送還者、国費送還者、送還忌避者の被送還者のうち、難民申請をしたことがある人の数を、それぞれ示されたい。
<その他・処遇について>
10. ニット帽を被ることについてご質問です。
① なぜ届出書ですらない誓約書が必要なのか。使われている誓約書のフォームと共にその必要性と法的根拠について示されたい。
答 被収容者処遇規則第14条に「入国警備官は、収容所等内外の巡視、見張り及び動しょうを行い、被収容者の動静及び施設の異状の有無に注意を払い、もって保安上の事故の防止に努めなければならない。」と規定されているところ、被収容者の動静に注意を払うためには、被収容者一人一人を識別する必要があります。
そのため、ニット帽を使用することによって、職員からその被収容者が誰であるのか識別できない状況が発生することを防止するため、その使用はあらかじめ申し出を行わせるものとしており、その際に帽子の自己管理や清潔の保持をはじめとして、点呼時には脱帽してもらうなどの誓約を求めているものです。
② 他にも同様の誓約書を書かせているものがありましたら、そのフォームも提示されたい。
答 別添とおり、電気シェーバー、バリカン、膝サポーター、カイロ、CDプレーヤー、市販薬、外用薬、粘着シート、手袋、ガムテープ、ヘアクリップがあり、これらは、高価な物品や適切に使用しなければ遵守事項違反となるもののため、誓約書を徹しています。