解説記事・声明等

参院選2022:難民保護や外国人との共生政策に関する各政党マニフェストまとめ

2022年6月22日公示、7月10日投開票の第26回参議院議員選挙に向けた各政党のマニフェスト(政権公約)のうち、難民保護や入管収容、外国人との共生政策に関する部分を抜粋してご紹介します。

※参考記事:選挙区・比例区への立候補者1人1人へのアンケート結果や、政党ごとの傾向は、こちらで紹介しています。

※政党要件を満たしている政党について、2022年6月22日時点で公開されているマニフェストを基に作成。各政党のマニフェストへのリンクは末尾に掲載。

pdf版はこちらから

1.難民保護、入管収容について

【自由民主党】

  • 中長期的には、二国間の「人権対話」の推進、権威ある国際NGOとの人権外交に関する対話枠組みの創設、外国人労働者との共生のための制度の強化、国際的に保護を必要とする難民等の受入れ改革等を追求します。(b, p.113 / 644 人権外交の推進)
  • ウクライナ等からわが国に避難して来られた方々が本邦での生活に困ることがないようにするため、関係省庁が緊密に連携し、必要な支援等のニーズ把握に努めながら、速やかに対応できるよう取組みを進めていきます。(b, p.147 / 839 在留管理と多文化共生社会の実現)
  • 日本人と外国人がともに安心して暮らせる社会の実現に向け、在留が認められない外国人の適正・迅速な送還とその間の収容長期化の防止のための法改正に取り組みます。(b, p.147 / 840 不法・偽装滞在者対策に資する体制の整備)

【立憲民主党】

  • 入国管理・収容・難民認定制度を抜本改善・透明化するため、「難民等保護法・入管法改正法」の成立を目指します。戦争等避難者も難民等として円滑に保護し、生活面での支援を提供できる体制を整備します。(p.17 / 入国管理・難民認定制度を改善・透明化)

【公明党】

  • ウクライナ避難民の受け入れを契機として、わが国における避難民等の受け入れや保護が迅速かつ円滑に進むよう新たな仕組みづくりに取り組みます。(p.12 / ウクライナ侵略への対応) 
  • ウクライナ避難民等の受け入れや保護が迅速かつ円滑に進むよう新たな仕組みづくりに取り組みます。また、ウクライナから避難された方々が、日本で安全・安心に暮らせるよう、医療・教育・就労支援など生活に必要な支援を継続して実施するとともに、受入自治体等への財政措置も強化します。(p.53 / 外国人が安心して暮らせる多文化共生社会)
  • 収容に代わる措置の検討、入管収容施設における適切な医療等体制整備の推進、在留を認めるべき者を適切に保護した上で送還忌避者についての送還手続の一層の適正化など、制度や運用の改善に取り組みます。(p.53 / 外国人が安心して暮らせる多文化共生社会)
  • …現地の情勢を慎重に注視しながら、引き続き、米国や関係国、 国連と連携を密に、日本関係のアフガニスタン人への必要な出国支援や避難民などに対する人道上の支援をしていきます。(p.58 / アフガニスタンへの対応)

【日本維新の会】

  • 偽装難民問題に留意しつつ、難民及び難民申請者への医療・食料等の支援強化や難民申請プロセスの改善など、SDGsの考え方に基づき人道的見地から難民問題に取り組みます。(350 / 外国人対応)

【日本共産党】

  • 外国人の人権を保障するため、入管法の抜本的改正を求めます
    • 法務省の判断で外国人を収容することができる全件収容主義を改め、収容には司法判断を必須とします。収容期限に上限を設けます。入管施設に収容されている者を仮放免できる制度を拡大します。
    • 出入国在留管理庁から難民行政を切り離し、独立した難民等保護委員会を新設します。現在の難民認定審査の在り方を、事案の実情に即した適切な判断を行うものへと大きく変えます。
    • 外国人個々の事情を考慮し、柔軟な在留特別許可制度にします。短期在留資格における就労許可を拡大します。難民申請者など在留資格を求める外国人に対する、生活支援制度を設けます。
  • 日本政府の難民認定のありかたを抜本的に改善します
    • 「難民」の定義を極端に狭くしている認定を改善します。
    • 入管行政と難民審査行政が一体となっているような難民審査体制の改正を含めた法制度の整備を急ぎます。
    • 難民申請者の生活保障と難民認定者への支援を拡充します。

【国民民主党】

  • 記載なし

【れいわ新選組】

  • 記載なし

【社会民主党】

  • 移民・難民の排除ではなく、共生社会の日本を創ります。(31)
    • 入管収容施設の人権侵害を防止します。非常に低い難民認定率の問題などに取り組み、移民・難民の排除ではなく、共生社会の日本をつくります。

【NHK党】

  • 記載なし

2.外国人との共生政策(主なもの)

【自由民主党】

  • ウクライナ避難民への支援を含めた外国人の受入れ環境整備や、適正な出入国在留管理を徹底し、多文化共生社会を実現します(a, p.4 / 国際社会の平和と安定を実現する)
  • 日本に在住する外国人が社会に溶け込み、また活躍する環境を整備するため、外国人の子供の就学を促進するよう、地方自治体における多言語の就学案内の送付や就学状況把握などの取組みを支援します。また、公立学校における外国人の子供の日本語能力や学力を保障するための指導を行う教師や指導員・通訳等の配置や ICT機器・教材の活用など、学習者の日本語能力に応じたきめ細かな受入れ体制を構築します。更に、高校・大学等への進学の促進を行うとともに、キャリア教育支援を充実することにより、将来、わが国の社会での活躍を目指した学習意欲の向上を図り、日本人の子供と外国人の子供がお互いに学び合い、切磋琢磨し合う環境づくりに取り組みます。併せて、外国人の子供の健康の確保のため、外国人学校の保健衛生対策の取組みを進めます。(b, p.133 / 760 外国人の子供が日本社会で活躍するための日本語教育等)
  • 外国人労働者の増加や、日本語学習のニーズの多様化を踏まえ、「日本語教育の推進に関する法律」等に基づき、日本語教師の能力等を証明する新たな資格や日本語教育機関の水準の維持・向上を図るための仕組みについて、法案の早期提出・成立も視野に検討を進めるとともに、「地域日本語教育の総合的な体制づくり推進事業」などを継続的に実施・充実させるなど、真に外国人との友好を育むための環境整備を行います。また、海外における日本語の普及にも取り組みます。(b, p.134 / 761 真に外国人との友好を築く日本語教育)
  • わが国における外国人との共生社会のあり方、その実現に向けて取り組むべき中長期的な課題及び方策等を示し、共生社会の実現に向けた取組みを推進します。共生社会の実現のため、在留外国人が、社会の構成員として責任を持って行動が取れるよう、日本語を習得する機会、税や社会保障等の社会制度等を修得する仕組みを構築します。(b, p.147 / 838 外国人との共生社会の実現)
  • 外国人の適正な在留管理の徹底を図るとともに、多文化共生社会の実現のため、一元的相談窓口の設置、行政・生活情報の多言語化などの受入れ環境整備を進めます。(b, p.147 / 839 在留管理と多文化共生社会の実現)
  • 国と地方公共団体、全国の一元的な相談窓口などとの連携を充実させるなど、効果的・効率的な支援の実施を推進します。(b, p.147 / 839 在留管理と多文化共生社会の実現)
  • 行政・生活情報について、わが国を訪れる外国人の国籍や使用言語などの多様化を踏まえ、多言語対応を推進しつつ、所要の体制整備を行います。国民と外国人の双方からの継続的な意見聴取や、基礎調査の実施などを通じ、外国人の生活上の諸問題を的確に把握し、共生社会実現に向けた施策に反映させていきます。(b, p.147 / 839 在留管理と多文化共生社会の実現)

【立憲民主党】

  • すべての外国籍の人々が日本国内で安心して生活し、就労できる環境を整えるため、「多文化共生社会基本法」の制定と技能実習制度に代わる新たな雇用制度の確立を目指します。(p.17 / 入国管理・難民認定制度を改善・透明化)

【公明党】

  • …外国人児童生徒などの学びを確保し、誰一人取り残されることのない教育の実現に向けてオンライン授業の環境整備やICTの活用を推進します。(p.9 / 誰も取り残されない 「教育立国」)
  • …外国人の方が適切な情報に到達できるよう、多言語対応を促進するなど、誰もが安心して暮らせる社会をめざします。(p.34 / デジタル社会の構築)
  • 無国籍の子どもの実態を正確に把握するため、継続した実態調査を実施するとともに、国籍取得を支援するため、相談体制を拡充します。(p.45 / 犯罪防止対策と人権の擁護)
  • …ヘイトスピーチ解消法の理念をもとに、さらなる実態調査や教育、啓発を行い、ヘイトスピーチを社会から根絶することをめざします。(p.45 / 犯罪防止対策と人権の擁護)
  • 幼稚園、保育園等が、外国籍や医療的ケアが必要な子ども等、特別なケアが必要な子どもたちの地域の受け皿として機能できるよう、支援の強化を図ります。(p.45 / 教育の無償化の拡充等)
  • 不登校経験者や外国人などの学ぶ機会を確保するために重要な役割を果たしている夜間中学校を5年以内に全ての都道府県・政令市に設置をめざします。(p.48 / 誰一人取り残されない学びのセーフティネット)
  • 外国人やその子どもたちが日本語を学べる機会を充実させるとともに、日本語教育水準の向上を推進します。あわせて、日本語教師に関する資格制度の創設に向けた検討や日本語教育機関の振興と活用を進めるための支援を行います。また、外国人の子どもの健康確保のため、外国人学校の保健衛生対策の取り組みを進めます。(p.48 / 誰一人取り残されない学びのセーフティネット)
  • 日本で生まれ育ち、納税の義務等を果たしている永住外国人への地方参政権の付与を実現します。(p.53 / 外国人が安心して暮らせる多文化共生社会)
  • 誰一人取り残さない共生社会の実現に向けて、在留する全ての外国人に対し、支援する専門家の育成等、 きめ細やかな対応ができる社会の構築をめざします。 また、緊急時等において、情報が適切に届くよう、 日本語教育の充実や多言語化などを推進し、情報から孤立しない情報提供体制の構築をめざします。(p.53 / 外国人が安心して暮らせる多文化共生社会)

【日本維新の会】

  • 表現の自由に十分留意しつつ、民族・国籍を理由としたいわゆる「ヘイトスピーチ(日本・日本人が対象のものを含む)」を許さず、不当な差別のない社会の実現のため、実効的な拡散防止措置を講じます。(346 / ヘイトスピーチ・誹謗中傷対策)
  • マイナンバーカードによる外国人労働者の在留管理を推進するとともに、新たな外国人労働者の受け入れも踏まえ、AI チャットボット・AI 翻訳を活用した行政の多言語対応など、外国籍児童・外国出身児童を含めた外国籍住民との共生を図ります。(348 / 外国人対応)
  • 日本に滞在する外国人に考慮し、災害時における行政による情報発信や避難所での多言語対応を充実させます。(368 / 危機管理・防災インフラ)

【日本共産党】

  • 外国人労働者の生活と権利の向上を
    • 在留資格の種類にかかわらず、外国人労働者の家族の帯同を実現します。
    • 生活全般に係る相談を一元的に受け入れるワンストップセンターの整備を推進します。
    • 地域での円滑な日常生活をおくるために、夜間中学などを含め外国人労働者・家族の日本語教育の充実を図ります。
    • 外国人児童の学校教育、外国人学校の支援に取り組みます。
    • 多文化共生社会の実現を図ります。
  • 永住外国人に地方参政権の付与を

【国民民主党】

  • ヘイトスピーチ対策法を発展させ、人種、民族、出身などを理由とした差別を禁止する法律を制定します。(p.20 / 差別の解消)
  • 外国人の受け入れは、その能力が存分に発揮され、日本国民との協働・共生が地域社会や生活の現場においても推進されることが大前提です。困難な状況となっている地方における人材の確保、多様な言語に対応したワンストップセンターの整備など、地方自治体などに対する支援を強化します。(p.20 / 外国人との共生)

【れいわ新選組】

  • 記載なし

【社会民主党】

  • 「障害者差別解消法」「部落差別解消法」「ヘイトスピーチ解消法」の差別解消三法をベースに、実効性のある包括的差別禁止法をつくり、共生の社会づくりをすすめます。(28)
  • 移民・難民の排除ではなく、共生社会の日本を創ります。定住外国人に地方参政権を実現させます。 (31)
    • 抜本的な解決を図るために外国人受け入れの土台となる「在留外国人基本法」の制定に取り組みます。日本で暮らす外国人の権利や義務、日本語教育、生活支援を行うことなどを明記します。
    • 長年日本に住み納税などの義務を果たしながら地域の課題について定住外国人が関与できないのは不合理です。定住外国人の地方参政権を実現します。

【NHK党】

  • 記載なし

3.出典(最終閲覧日は全て2022年6月22日)

政治的中立性について:本ウェブページでは各政党のマニフェストを紹介していますが、特定の政治思想、政党や立候補者を支持したり、否定するものではありません。