10月19日公示、10月31日投開票の第49回衆議院議員選挙に向けた各政党のマニフェスト(政権公約)のうち、難民保護や入管収容、外国人との共生政策に関する部分を抜粋してご紹介します。
難民保護については、立憲民主党・公明党・日本共産党・日本維新の会・社会民主党・れいわ新選組が言及しています。
※2021年10月20日現在、政党要件を満たしている政党のマニフェストから抜粋。各政党のマニフェストは末尾にリンクを掲載。
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衆院選2021:難民保護や外国人との共生政策に関する各政党マニフェストまとめ
自由民主党
難民保護・入管収容について | 記載なし |
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外国人との共生政策 | - 外国人の適正な出入国・在留管理を徹底しつつ、一元的相談窓口の設置など、多文化共生の実現に向けた受け入れ環境を整備するとともに、技能実習制度及び特定技能制度の活用を促進し、中小企業・小規模事業者等の人手不足に対応します。(p.23)
- 帰国生や外国人の公立学校における受け入れ体制を充実します。(p.21)
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立憲民主党
難民保護・入管収容について | - <<重点政策>>国際法違反との強い批判を受けている現行の難民認定制度・収容送還制度を抜本的に見直し、わが国が締約国となっている「難民の地位に関する条約」や「国際人権規約」等の国際ルールに基づいて、保護すべき難民申請者や補完的保護対象者等を適切に保護できる新たな難民認定・保護制度を確立するため、政府から独立した第三者機関である「難民保護委員会」の創設等を柱とする難民等保護法案の制定をめざします。(a, p.26)
- <<重点政策>>入国管理・難民認定制度を改善・透明化するとともに、多文化共生の取り組みを進めます。(a, p.61)
- <<重点政策>>ミャンマー、ウイグル、香港、北朝鮮などでの深刻な人権侵害に対して強く抗議していきます。国際社会とともに人権の蹂躙を即刻停止するよう働きかけていきます(中略)「人権外交」をはじめとした価値観外交を進めていきます。日本国内の難民の受け入れ体制を改善していきます。(a, p.67)
- スリランカ人ウィシュマさん死亡事案における監視カメラ映像ならびに関係資料の公開(b,(5))
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外国人との共生政策 | - 多文化共生社会(外国人)(a, p.26-29)※各政策の項目のみ抜粋
基本法制定と多文化共生庁創設 [多文化共生社会実現のための基本法の制定] [国および地方における多文化共生社会基本計画の策定とその実践] [多文化共生庁の創設と一元的な政策の推進] 労働・教育・地域交流 [外国人労働者の受け入れ制度の抜本改革と権利の保障/保護] [外国人労働者の日本語/コミュニケーション能力向上のための支援策] [自治体への支援と連携・協力] [外国人の子どもたちの教育の保障] [社会保障の確保] [住民自治と多文化共生] [多文化共生教育や人権教育の推進] 在留制度 [在留制度の見直し] 難民等保護 [難民等保護] 差別解消 [包括的差別禁止法の制定] [個人通報制度] [政府から独立した人権救済機関の構築] [ヘイトスピーチ対策の強化] - その他の政策
- 現行の「外国人技能実習制度」や「外国人留学生の資格外就労制度」等を抜本的に見直し、新たな外国人雇用/労働の許認可制度を創設します。(a, p.12)
- 外国人女性に対し、多言語での情報提供を行い、相談窓口へ接続できるよう環境を整備します。(a, p.23)
- 外国人の政治参加のあり方について検討を進めます。(a, p.30)
- 活力ある日本社会の実現には、外国人労働者が必要ですが、その人権を尊重しつつ、国民と在留外国 人がともに生活できる環境の整備を図ることが重要です。「人権尊重を前提とした在留外国人を包摂できる社会の実現」「在留外国人の増加による社会経済情勢の変化への配慮」を基本理念とし、多文化共生社会の形成を目指す法整備を行います。(a, p.65)
- この法整備に基づき、国や都道府県・市町村は①差別の禁止、②相談体制の整備、③教育・啓発、④生活の円滑化、⑤教育の機会の確保、などの施策について基本計画を定め、その施策を推進します。(a, p.65)
- 大都市圏ばかりでなく、人材確保が困難な地方にも必要とされる外国人材が集まるよう、人材の確保や生活支援、多言語に対応したワンストップセンターの整備などに取り組む地方自治体等に対して、制度・財政上の裏付けをもって支援します。(a, p.65)
- 地域や職場、学校での交流事業の支援、日本語教育の機会の確保など、外国人対応が増えている自治体に支援します。(a, p.65)
- 母語・母文化を尊重しながら、すべての外国籍の子どもの就学と日本語教育の充実のための公的支援を整備します。(a, p.75)
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公明党
難民保護・入管収容について | - 入管収容施設における収容の長期化が喫緊の課題となっています。その課題を解消するため、収容に代わる措置の検討や、入管収容施設における適切な医療等体制の整備を推進するなど、制度や運用の改善に取り組みます。(p.48)
- アフガニスタンの安定化と復興が、地域及び国際社会の平和と安定にとって極めて重要です(中略)現地の情勢を慎重に注視しながら、引き続き、米国や関係国、国連と連携を密に、出国を希望する日本人や現地職員等の安全な移動に向けた支援や避難民などに対する人道上の支援をしていきます。(p.63)
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外国人との共生政策 | - 外国人の方が適切な情報に到達できるよう、多言語対応を促進するなど、誰もが゙安心して暮らせる社会をめざします。(p.25)
- 幼稚園、保育園等が、外国籍や医療的ケアが必要な子ども等、特別なケアが必要な子どもたちの地域の受け皿として機能できるよう、支援の強化を図ります。(p.39)
- 不登校経験者や外国人の方などの学ぶ機会を確保するために重要な役割を果たしている夜間中学校を5年以内に全ての都道府県・政令市への設置をめざします。(p.41)
- 外国人やその子どもたちが日本語を学べる機会を充実し、日本語教育水準の向上を推進します。あわせて、日本語教師に関する資格制度の創設に向けた検討や日本語教育機関の振興と活用を進めるための支援を行います。また、外国人の子どもの健康確保のため、外国人学校の保健衛生対策の取り組みを進めます。(p.41)
- 若者、高齢者や障がい者、外国人など、知識・経験・判断力が不十分な消費者の契約取り消しを可能にする法整備を進めます。(p.48)
- 無国籍の子どもの実態を把握するとともに、国籍取得を支援するため、相談体制を整備します。(p.48)
- 誰一人取り残さない共生社会の実現に向けて、在留する全ての外国人に対し、支援する専門家の育成等、きめ細やかな対応ができる社会の構築をめざします。また、緊急時等において、 情報が適切に届くよう、日本語教育の充実や多言語化などを推進し、情報から孤立しない情報提供体制の構築をめざします。(p.48)
- 日本で生まれ育ち、納税の義務等を果たしている永住外国人への地方参政権の付与を実現します。(p.48)
- 要配慮者の多様なニーズに対する福祉避難所の在り方やペット同行避難、外国人対応、民間事業者による避難所運営などの検討も進めます。(p.54)
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日本共産党
難民保護・入管収容について | - 入管・難民行政を抜本的に改革します(a)
- ウィシュマさん死亡事件の真相解明のために、情報・真実の公開、入管関係者から独立した第三者による検証を行います。
- 収容期間の上限、身体拘束に際しての司法の関与など入管法を抜本改正します。
- 難民認定を、国連難民高等弁務官事務所のガイドラインに基づき、難民の実情に即したものに改めます。難民認定行政を、入管庁、外務省から切り離し、独立性を持った行政機関が行うようにします。
- 日本で育った子どもをはじめ長期に日本で暮らしている非正規滞在者の地位を安定化するために、在留特別許可の要件緩和・明確化などをすすめます。
- 外国人の人権を保障するため、入管法の抜本的改正を求めます(b)
- 法務省の判断で外国人を収容することができる全件収容主義を改め、収容には司法判断を必須とします。収容期限に上限を設けます。入管施設に収容されている者を仮放免できる制度を拡大します。
- 出入国在留管理庁から難民行政を切り離し、独立した難民等保護委員会を新設します。現在の難民認定審査の在り方を、事案の実情に即した適切な判断を行うものへと大きく変えます。
- 外国人個々の事情を考慮し、柔軟な在留特別許可制度にします。短期在留資格における就労許可を拡大します。難民申請者など在留資格を求める外国人に対する、生活支援制度を設けます。
- 難民問題に、日本政府は先進国として積極的な役割を果たすよう求めます(b)
- シリア難民危機に対応した難民の受け入れを適切に行うこと。
- 国際機関、地域機関、NGOと協力体制をとり、シリア、アフガニスタン難民が滞在する地域周辺国などへの支援を抜本的に強化すること。
- 難民が生まれる根本原因を一掃するための日本の貢献、とくに、平和憲法を持つ国にふさわしく、紛争解決のための外交的な役割を発揮すること。
- 日本政府の難民認定のありかたを抜本的に改善します(b)
- 難民認定が極端に少ない
- 難民申請者の生活保障が不十分
- 難民認定者への支援も不十分
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外国人との共生政策 | - 技能実習制度を廃止し、外国人労働者の権利を守ります(a)
- 憲法と労働基準法などに基づいて、外国人の基本的人権、労働者としての権利を守ります。
- 技能実習制度は廃止します。外国人を雇用の調整弁にする改定入管法を抜本改正し、家族の帯同をはじめ人権を守ります。
- ワンストップ相談センターの整備、日本語教育の拡充など、真の共生社会の実現に向けた取り組みをすすめます。
- ヘイトスピーチ解消法も力に、ヘイトスピーチを社会から根絶していく取り組みをすすめます(a)
- 在留資格「特定技能」制度―外国人労働者に人間らしい生活を保障するための施策をすすめます(b)
- 外国人労働者に人間らしい生活を保障するための施策をすすめます(b)
- 外国人技能実習制度―安易な受け入れ拡大に反対し、制度の廃止を含めた根本からの見直しを求めます(b)
- 永住外国人に地方参政権の付与を(b)
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日本維新の会
難民保護・入管収容について | - 偽装難民問題に留意しつつ、難民及び難民申請者への医療・食料等の支援強化や難民申請プロセスの改善など、 SDGsの考え方に基づき人道的見地から難民問題に取り組みます。(243)
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外国人との共生政策 | - マイナンバーとすべての銀行口座の紐づけを義務化すること等を通じて収入と資産を捕捉するとともに、戸籍から不動産登記、外国人在留管理までを紐付けし、ワンストップサービスの拡張、有事の際の給付金の速やかな支給など、透明で公平公正、迅速な行政施策の実施を実現します。(36)
- 表現の自由に十分留意しつつ、民族・国籍を理由としたいわゆる「ヘイトスピーチ(日本・日本人が対象のものを含む)」を許さず、不当な差別のない社会の実現のため、実効的な拡散防止措置を講じます。(239)
- マイナンバーカードによる外国人労働者の在留管理を推進するとともに、新たな外国人労働者の受け入れも踏まえ、 AIチャットボット・AI翻訳を活用した行政の多言語対応など、外国籍児童・外国出身児童を含めた外国籍住民との共生を図ります。(241)
- 外国人技能実習制度の実態を調査し、外国人労働者が「労働力の需給調整手段」として使われてきた状況を抜本的に改善して適切な受け入れを推進します。(242)
- 安全保障上の観点などから、各級選挙や住民投票における外国人参政権付与については認めない一方、帰化を望む永住外国人のため帰化手続きのさらなる合理化・簡素化を推進します。(244)
- 日本に滞在する外国人に考慮し、災害時の行政からの情報発信や避難所における多言語対応を充実させます。(263)
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国民民主党
難民保護・入管収容について | 記載なし |
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外国人との共生政策 | - 差別の解消:ヘイトスピーチ対策法を発展させ、人種、民族、出身などを理由とした差別を禁止する法律を制定します。(p.16)
- 外国人との共生:外国人の受け入れは、その能力が存分に発揮され、日本国民との協働・共生が地域社会や生活の現場にお いても推進されることが大前提です。困難な状況となっている地方における人材の確保、多様な言語に対応したワンストップセンターの整備など、地方自治体などに対する支援を強化します。(p.16)
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社会民主党
難民保護・入管収容について | 入管収容施設の人権侵害を防止します。非常に低い難民認定率の問題などに取り組み、移民・難民の排除ではなく、共生社会の日本をつくります。 |
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外国人との共生政策 | - 政府から独立した実効性のある人権救済機関を設ける包括的な差別禁止法の制定を提案してきました。いかなる差別も許さない共生の社会づくりのため、社民党は全力で取り組む決意です。
- 抜本的な解決を図るために外国人受け入れの土台となる「在留外国人基本法」の制定に取り組みます。日本で暮らす外国人の権利や義務、日本語教育、生活支援を行うことなどを明記します。
- 長年日本に住み納税などの義務を果たしながら地域の課題について定住外国人が関与できないのは不合理です。定住外国人の地方参政権を実現します。
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NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で
難民保護・入管収容について | 記載なし |
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外国人との共生政策 | 記載なし |
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れいわ新選組
難民保護・入管収容について | - 国内に在留する外国人に対する人権侵害を防ぎます(a, p.4-5)
- 入管施設での人権侵害を無くすとともに、在留する外国人の「家族分断」を防ぎます:入管施設への収容について司法審査による決定を導入し、収容には期限を厳格に設けます。ウィシュマさん事件に代表される収容者に対する相次ぐ人権侵害事件の再発を防ぐために、独立した「第三者委員会」を設置し再発防止策を講じます。また、様々な事情を考慮して外国人に「在留特別許可」を付与する際、国連自由権規約が保障する子どもの最善の利益や家族の結合権といった権利を踏まえ、家族分断が生まれない よう法・制度の改善を行います。
- 難民認定を行う独立の「難民認定委員会」を設置します:G7各国の難民認定率を比較してみると、カナダ 56.4%、米国 35.4%、英国 32.5%、ドイツ 23.0%、フランス 19.2%、イタリア 6.8%というなかで、日本はわずか0.25%です(2018年)。その理由の一つが、日 本の難民認定が独立の機関ではなく、法務省・出入国在留管理庁が難民認定業務を担当していることです。 難民認定の主体を法務大臣から、独立の「難民保護委員会」に移します。
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外国人との共生政策 | - 国内に在留する外国人に対する人権侵害を防ぎます(a, p.5-6)
- 人権侵害の「外国人技能実習制度」は廃止します:外国人技能実習制度は「あなたの祖国に日本の技術を持って帰って役立ててください」という話でしたが、実際は労働の「調整弁」としての安い労働力としての搾取です。非人間的な扱いも数々報告されています。 外国人労働者がなくては今の日本経済が回っていかないのが現実ですが、外国人労働者の力を借りる場合 には、奴隷的扱いではなく、権利を保障する法律を制定し、劣悪な労働環境、給与水準を是正していくなど の「受け入れ態勢」を整えることが最低限の条件です。それが担保されない間は受け入れる資格がありません。
- 共生社会の礎となる外国人の包括的な権利を規定する法律を制定します 在留外国人を「管理」するこれまでの法制度ではなく、外国人の権利(労働環境や給与水準の保障、法制度の周知についての多言語での合理的配慮、文化的独自性などの保障する内容の法律)が必要です。市民的、経済的、政治的、社会的、および労働の権利に関わる保護の最低基準を設けます。「ヘイトスピーチ解消法」 だけではなく、更に外国人差別をなくすための法律が必要です。また、各種学校である外国人学校 (朝鮮 学校含む)についての学費無償化対象に加えます。
- 働く人を徹底的に守る。ー 外国人労働者は敵ではない。「労働の安売り競争」こそがなくすべき敵である。(b, p.7-8)
- 今、世界中で労働者が競争に追い立てられ、賃金やその他の労働条件をお互い に切り下げる「底辺への競争」の現実が存在しています。日本国内の外国人技能 実習制度も、その一環です。その人権無視の奴隷的な労働実態から、国連人権理 事会では廃止するよう調査報告されています。このような奴隷制度が公然と存在していることなどあってはならない。すみやかに廃止するべきです。
- 入管法が「改正」され「特定技能」を有すると謳われた労働者の受け入れが決定されましたが、実態としては、外国人労働者を「低コストの労働力」と捉える ものであり、このままでは日本国内の既存の雇用が脅かされて賃金上昇が抑えられ、底辺への競争が加速してしまます。
- デフレ脱却も遠のくだけでなく、外国人労働者の搾取も強化されてしまいます。ここから脱却するには、日本国内の労働者の処遇と、外国人労働者の権利の 両方を守らなければなりません。日本人と同じ賃金と労働基準を適用し、「低コ ストの外国人労働者」の受け入れをなくしていきます。
- これは、排外主義に与するものではないし、そうであってはなりません。
- 積極的な雇用拡大政策とも合わせて、同一価値労働同一賃金の原則を、民族・ 国籍を問わず全ての労働者に広げ、雇用をめぐるダンピング争いをなくしていきます。
- そのために、民族・国籍で差別しない労働者同士の団結や連帯したアクション は非常に重要です。現場での当事者のアクションと労働運動が連携するととも に、政策としてもあらゆる可能な手段を追求します。
- 無年金障害者(※)に国としての救済措置を設けます。(c, p.3-4)
- ※下記の人が中途で障害者になった場合、無年金障害者となります。1.強制加入者でありながら年金制度に加入していない人、2.保険料を一定期間滞納している人、3.国民年金の任意加入者である在外邦人で、任意加入していない人、4.学生納付特例の承認を得ておらず、しかも保険料を滞納している学生、5.1982年難民条約批准に伴う国民年金法上の国籍要件削除以前に 20歳の誕生日を迎えた外国人障害者
- 政策決定過程の透明化と行政監視における当事者参画の徹底を制度化します。具体的には、障害者、高齢者、子ども、生活困窮者、ニート・ひきこもり、LGBT、被災者、外国人 等のマイノリティに関する政策決定における審議・検討過程、制度を執行する行政の監視機 関等に、当事者を3分の1から半数の割合で参加する仕組みをつくります。(d, p.1)
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※ 各政党のマニフェストについて
下記のリンクを参照。最終閲覧日は全て2021年10月20日。
※政治的中立性について:本ウェブページでは各政党のマニフェストを紹介していますが、特定の政治思想、政党や立候補者を支持したり、否定するものではありません。