活動レポート

冬の支援の様子ーー難民の方々からの切迫した相談が急増する中、力を尽くして支援を続けています

この冬は新規に来日した方からの相談が急増しています。所持金はわずか、宿泊先がなく、難民申請についての情報も持ち合わせていない状態の方々が、毎日難民支援協会(JAR)の事務所に訪れています。連日30人ほどからの相談が夜遅くまで続いていて、事務所の相談室は常に埋まっており、スタッフ用の会議室を使ってもまだ部屋が足りないような状況です。新規来日の方だけでなく、長く日本に滞在している難民の方々の困窮も深まっており、急を要するケースが増加しています。

「今日寝る場所がない」という相談が多く、昨年12月末にはそのような方々が年末年始の間に路頭に迷うことのないよう、宿泊先の確保に奔走しました。JARのシェルター以外にホテルの手配も必要となりましたが、観光需要が戻る中、特に年末年始はホテルの予約がしづらく、他団体のご協力なども得ながら、緊急で住居支援が必要な方の宿泊先を何とか確保しました。1月に入ってからも新規来日の方が大勢相談を寄せており、宿泊先の確保は引き続き急務となっています。

また、温暖な地域から薄着で到着し、慣れない日本の冬の寒さに凍える方が少なくありません。足元がサンダルの方、公園で寝泊まりをして凍えたままJAR事務所に来る方もいらっしゃいます。11月の時点ですでに冬物コート、ニット帽、マフラーなどの希求が増加し一時的にJARの在庫がなくなりかけることもありましたが、多くのご支援のお陰で、寒い冬を耐えるための最低限の衣類、防寒具を提供することができています。

「食」の提供も引き続き行っています。相談を寄せる大半の方々が今日明日の食べ物に困窮しているため食料のお渡しや配送を行っているほか、事務所近くのレストランのご協力などにより、温かい食事を提供することもできています。日本に逃れてきたばかりで食事もままならず「日本で初めて美味しいご飯を食べた」と一息つかれた様子の方もいました。一方、宿泊先では料理をすることができずレトルトに頼らざるを得ない方も多く、手軽に食べられる果物なども意識的にお渡しするようにしています。

このように難民の方々の衣食住を確保し、それぞれの状況に応じて今後の生活についての相談に乗り、また、難民認定に向けた法的支援を行っています。

新規来日の方には、逃れてきた背景などを聞き取ったうえで難民申請についての説明を行い、申請の準備を支援しています。ホームレス状態で疲れ切った様子でJARに到着したものの、在留資格の期限が数日後に差し迫っているため、すぐに難民申請書を書いてもらわなければならない、ということも少なくありません。早く身体を休めていただきたいと思いながらも、難民申請書はこれからの手続きの基礎となるため、申請書の説明をしながら確実に作成するよう支援しています

また、難民の方々を取り巻く問題の根底にある制度の問題を少しづつでも改善するための働きかけを粘り強く続けています。
2021年に廃案となった入管法改正案が、再び今月末からの国会に提出されると報じられています。難民申請者の送還を一部可能にするなどの問題がありましたが、そこから日本の難民保護の課題は変わっておらず、法案の再提出を強く懸念しています。保護されるべき難民の方々が適切に保護されるよう、声をあげていきます。

このような私たちの活動は皆さまからのご寄付など、多くのご支援があってはじめて実施することができています。日頃からの温かいご支援に心より感謝いたします。厳しい状況が続いていますが、日本に助けを求めて逃れてきた方々がまずはこの冬を乗り越えられるよう、支援を続けます。

これからも引き続き、日本に逃れてきた難民の方々へのご支援、ご関心を寄せていただけましたら幸いです。

※写真はイメージです。