2023年10月10日、「出入国管理及び難民認定法施行令の一部を改正する件及び出入国管理及び難民認定法施行規則の一部を改正する件」に対する意見を、下記の通り提出しました。
2023年6月9日に成立した改正入管法により、「補完的保護」対象者の認定制度の導入が決定されました。12月1日からの施行とされています。
「補完的保護」とは、難民条約上の難民には該当しないものの、国際的な保護を必要とする人を保護するための仕組みです。既に多くの国で導入されていますが、改正法における補完的保護は、国際的に確立された定義を踏まえたものとはいえず、保護の広がりへの懸念が残ります。
また、補完的保護は、あくまで難民条約による保護を「補完」する役割であり、難民認定制度の改善が伴ってはじめて、本来の意味を果たすものです。この点、補完的保護対象者の認定制度と同時に施行される「難民の認定等を適正に行うための措置」や、申請者への面接における配慮について、今回の意見募集の対象に含まれていないことが懸念されます。
補完的保護の対象者や申請者の処遇についても意見を述べています。詳しくは、下記PDFファイルよりご覧ください。
【内容】
1.はじめに
2.補完的保護の対象
(1)改正法における定義
(2)国際人権法に基づくノン・ルフールマン原則の遵守
3.補完的保護対象者の認定手続
(1)難民・補完的保護対象者認定申請書の様式
① 補完的保護対象者認定制度の創設に伴う変更点
② 迫害理由の記載
③ その他の改善点
(2)難民審査参与員に対する研修や任命のあり方の見直し
(3)難民・補完的保護対象者認定証明書
(4)不認定通知書
4.補完的保護申請者に対する支援
5.補完的保護対象者の処遇
(1)在留資格
(2)補完的保護対象者に対する支援
(3)家族呼び寄せ
(4)旅行証明書
6.一時庇護のための上陸許可
7.難民認定制度の運用の見直し
(1)難民申請者に対する面接における適切な配慮
(2)国際情勢に関する情報の収集
(3)難民認定等に関与する者への研修の実施
さらに、改正入管法には、難民申請者の送還を可能にするなど、難民保護の観点から強く懸念される内容が多く含まれています。来年6月までとされる全面施行に向けて、難民の送還ではなく保護を求める声を、引き続き政府や国会に届けていきます。