「私はすべてを失った。でも、今日、わかった。私は生きている。だから私はきっと大丈夫だって思えた」
昨年に続き開催した世界難民の日イベントに参加したある難民の方の言葉です。彼女は母国でさまざまな迫害を受け、すべてを失い、なんとか日本に逃れてきました。この日、自分と同じような境遇にいる人たちと共に、食事を囲み、踊り、歌い、一緒に笑ったことで、「生きている」ことを実感できたと話してくれました。
困窮する生活、孤独な日々をひと時でも忘れて
日本での厳しい現実から少しでも離れ、「ひと時でも楽しんでほしい、笑顔になってほしい」という思いを込め、今年も企画しました。当日の出し物や料理などは難民の方々が知恵を出し合い、準備を主体的に進めてくれました
参加した難民の方それぞれ、人には言えない辛い経験を抱え、日本で難民申請の結果を待っています。今回声をかけたのは、生活が困窮しており、国からの難民申請者への支援金「保護費」の受給も受けていない方々。来日間もなく、ネットカフェやホステルなどで仮住まいを続けている方、野宿を強いられている方などです。当日は、ジンバブエ、コンゴ民主共和国など出身の32名が参加しました。
手品に始まり、美味しい食事、歌とダンスに大合唱
相談にくる時とは違い、普段支援にあたるスタッフが驚くほど、たくさんの笑顔を見ることができました。今年は、全員で参加できる、言葉を使わないレクリエーションを取り入れるなどの工夫を凝らしました。準備した出し物に加え、当日難民の方による飛び入りで歌やスピーチがあったりと、とにかく楽しい、盛りだくさんな会となりました。
家族や友人はここにはいないかもしれない。だけど、私たちはみんな”家族”。
イベントの最後に、母と共に逃れてきた10代の参加者が日英での歌を披露。続けてスピーチも行いました。その中の「私たちはみんな”家族”です」という言葉は、大切な人々と離れ離れになり苦しい日々を送る難民の方々にとって深く心に響いたようで、皆深く頷いていました。
「たくさん元気をもらいました。日本では一緒にご飯を囲んだり、笑ったりできる家族も友達もいません。素敵な時間をありがとう」
「ずっと暗闇の中にいました。JARに来て道が開け、ここがホームになりました」
「どの出し物も最高でした。歌に誘われ、思わず踊りだしてしまいました」
参加した難民の方の感想です。一日も早く難民として認められ、大切な人たちと日常の喜怒哀楽を共にできることを願い、引き続き支援を続けていきます。
*昨年の様子はこちら。企画実施に至るまでの経緯なども詳しく紹介していますので、合わせてご一読ください。