活動レポート

難民支援を、皆さまとともに進めていきたい ~ 難民支援協会(JAR)25周年によせて

    「本当に自由なんだ。映画を見ているみたいだ。」

    あるスタッフは、隣を歩いていた難民の方が街に輝くクリスマスのイルミネーションを見ながら、そうおっしゃったことを、鮮明に覚えています。

    その難民の方はさまざまな暴力を受け、逃れるためにアフリカから来日。一度は難民申請が却下され、同国人などからの目におびえ大変な緊張状態で過ごす日々を10年近く送ってきましたが、ようやく在留資格を得ることができました。先ほどの言葉は、手配した住まいに一緒に向かう場面でのことです。法的に認められること、自由に外を歩けること、安心して暮らせる場所があること。そのようなことがすごく遠いものだったのだと感じました。これからは「彼の人生」を歩んでほしいと願わずにはいられませんでした。

    日本に逃れてきた難民の「苦渋を傍観するにたえず、同じ人間として支援したい」との想いから1999年に設立した難民支援協会は、本日25周年を迎えました。設立以来、約8,000人の方々を支援し、母国を追われた難民が失った権利を回復できるよう活動してきました。支援を必要とする人が支援を必要とするときはしっかりと支えられるとともに、それぞれの方が持つ力を活かして社会の一員となることを目指しています。
    ここまで歩み続けてこれたのは、私たちの活動を支えてくださる支援者の皆さまのおかげです。

    これからも、どうか私たちの活動、日本に逃れてきた難民へのご支援と応援をお願いいたします。

    ご寄付は財政的にはもちろん、日本での難民支援活動への応援と共感の気持ちを示していただいているものと大切に受け止めています。多くの方からさまざまなかたちで応援いただいていることを、難民の方々にも、社会に対しても可視化するものです。

    この25年間、難民を取り巻く状況にはさまざま変化がありました。
    日本で難民認定される人の数は昨年最多となり、認定を受ける人の国籍も多様化しています。日本に難民が逃れてきていることが広く知られるようになりました。
    しかし、国際的に見れば難民認定の基準はとても厳しく、私たちが目指す難民保護に特化した法律や難民保護のための独立的な機関はまだ実現していません。今年6月には、難民申請中の方でも送還が可能になってしまう法が施行されました。

    残念ながら、冒頭の方のように希望をもって一歩踏み出せている方はわずかと言わざるを得ません。それでも、あきらめずに一つひとつすすんでまいります。難民は、国籍国からの保護を求められず、多くが日本でも不安定な立場におかれます。寄り添い、声に耳を傾ける人がいなければ、より”見えない”存在になってしまう。難民を取り巻く状況は私たち自身/社会の問題でもある ー 皆さまにこの活動を知っていただき、ご支援をいただきたい理由です。
    難民の方が増えている今、よりさまざまな方と協力したり対話しながら活動してまいります。難民の尊厳と安心が守られ、ともに暮らせる社会を、ぜひ皆さまと一緒に作りたいと考えています。

    これからもご支援を、どうぞよろしくお願いいたします。

    2024年7月17日
    難民支援協会 スタッフ一同

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    設立20周年の節目に、難民支援協会がたどってきた道のりを紹介するウェブページを作成しました。
    それからの5年間の活動や出来事のまとめを、今年秋ごろに掲載予定です。