入国制限緩和により日本に難民がようやく逃れてくることができるようになり、JARにも多くの相談者の来訪が続いています。
この秋 、今年の難民申請者数がコロナ禍以前(2019年10,375人)を上回りました*。約1年前に日本政府がコロナ禍による入国制限を大幅に緩和して以降、日本に逃れる難民が急増しており、公的支援「保護費」の受給までにかかる時間も長期化 、数か月から半年かかっています。
難民の命を繋ぐために、難民支援協会(JAR)は日々の食事の提供や難民認定手続きの説明をはじめ、さまざまな支援を続けています。ホームレスになっている方もいます。単身の方、小さいお子さんとその家族、妊婦など、難民として日本で暮らすにはさらに困難を抱える方々も多くいます。
より困難な状況にある方々を優先し、宿泊先の提供も行うなどできるだけ安心いただけるように取り組んでいますが、十分な支援を行うことがこれまで以上に難しくなりました。
この間、ひと月約 600 人の方が事務所を訪れています。入国制限のなかったコロナ前でも、この規模の支援が必要となることはありませんでした。これまでのような最低限の衣食住を支える支援も、できなくなっています。
厳しい状況にある難民に支援を続けられるよう、寄付でご協力ください。
*2023年9月時点。難民支援協会、名古屋難民支援室、RAFIQ 難民との共生ネットワーク調べ
過去最多に迫る難民申請者数。 公的支援が滞り、来日してからの困窮が非常に長くなっています。
月のべ約600人が来訪
昨年秋の入国制限緩和以降、JARへの来訪者が急増、 2023年の前半には、月のべ約600人の方が来訪するよう になりました。コロナ前と比べても1.5〜2倍の規模です。
2023年の後半に入っても来訪人数は減少していません。 今後も引き続き、多数の難民の方々への支援が必要となると考えています。
保護費支給を待って4か月、まだ支給のめどは見えない
ジョセフさん(カメルーン出身・20代・男性)
英語圏出身で分離独立を目指す政党の支持をする活動をしていました。政府による弾圧が激しくなり、仲間が投獄されたことを受け、身の危険を感じ逃れてきました。
来日できたのは偶然ビザが下りたからです。日本は平和で安全な国というイメージがありました。でも、来日直後から苦しい生活が続いています。保護費が支給されるのを待って4か月。先が見えない日々は苦しいです。
■カメルーンの情勢
欧州による植民地支配の歴史から、多数派仏語圏と少数派英語圏の対立が続く。2016 年以降、政府による英語圏出身の記者や活動家などの拘束や投獄が相次ぐ。英語圏の分離独立派と政府との衝突も激化、民間人の死者がでるなど被害が深刻化している。
*画像はイメージです。
留学していた日本なら助かると思って来日したけれど…
アリさん一家(アフガニスタン出身・夫婦と子ども4人家族)
少数民族のハザラ人の一家。以前からさまざまな差別に晒されてきましたが、2021 年のタリバン復権以降は住み慣れた故郷を強制的に移動させられたり、娘が学校に行けなくなるなど、暮らしはさらに厳しくなりました。
夫が以前留学していた日本に行けば、命をつなぐことができると思い来日。しかし、難民認定はすぐに得られず、審査を待つ間の生活は非常に苦しいです。中学生になる娘は親の苦労がわかっているのでいろいろと我慢をさせてしまいつらいです。
■アフガニスタンの情勢
1979 年のソ連侵攻以来、世界でも類を見ないほど長期化した難民危機となっている。2021年のタリバン復権後、過激なイスラム統治が復活。少数民族の迫害、平和的なデモの厳しい取り締まり、女性の権利抑圧、超法規的処刑などが行わ れている。
公的支援「保護費」の課題
保護費とは政府が提供する難民申請者への唯一の公的支援です。支給されるまでの待期期間が長く、その間にホームレスに陥ってしまう人がいるという深刻な課題があります。詳しくはJARウェブサイトの記事をご覧ください。
これまで、来訪される多数の方々に支援を続けてきましたが、今後の支援継続のために必要な資金が不足しています。
宿泊、食料等の支援費用推移
JARでは、食料や宿泊先の提供、医療機関への同行、難民申請や就労の相談など、来訪される方の状況に応じてさまざまな支援を行っています。食料は、果物や 豆・魚などの缶詰、パンなどをお渡ししています。 一部ハラルの食品も用意しています。調理が可能な場所にいらっしゃる方にはお米やパスタ、野菜なども提供し、少しでも栄養が取れるようにしています。また、お子さんがいる家族など、より困難な状況にある方を優先し宿泊先も手配しています。
2022年年末より支援を求めて来訪される方が急増し、必要な支援物資も、相談件数も非常に多くなりました。
JARが使える資金やスタッフの対応力には限りがあり、限界を超えている状況です。最低限の支援を継続するためにも、これまで以上の資金が必要になって います。
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必要な方に、約1週間分の安全な宿を提供することができます。
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