活動レポート

2022年 夏の支援のご報告(期間:2022年7月1日~8月31日)

▲写真:新しく入居するシェルター(宿泊場所)への移動に付き添う

今年の夏は、新型コロナの再拡大や記録的な猛暑の中、もともと脆弱な立場に置かれている難民の方々の困窮が一層深まったことを実感する期間となりました。

難民の方ご本人の来日期間の長期化や、コロナ禍でこれまで頼ってきた周りの人々の経済状況も悪化してしまったことなどにより、家賃や光熱費が払えない方、日々の食べるものに困るほど生活に困窮する方からの相談が増えました。

中でも、仮放免中の方や難民申請を複数回行っている方の生活が立ち行かなくなってきており、「ライフラインが止まってしまった」という相談もありました。また、ホームレスとなってしまった方からの相談も相次ぎ、JARの支援を受けてJAR事務所近くのホテルに泊まる方が常にいるような状態となりました。さらに、医療面でも重い基礎疾患のある方からの相談やコロナ関連の相談など、切迫した相談が続きました。

さまざまな状況の方がいる中で、その方の必要性に応じ、難民申請の相談対応、食料や宿泊場所の提供、受診できる病院の紹介や同行などの支援を行ってきました。事務所に来訪できない方へは、以前から食料や物資の発送を行っていますが、この夏は熱中症対策としての冷感タオルの同梱なども意識的に行いました。JAR事務所近くのホテルに宿泊していた母子が毎日のように事務所に顔を出すということもありました。猛暑で公園などにも行きづらい中、JARが彼女たちの居場所となっていたのかもしれません。

事務所に設けたキッズスペース

▲写真:お子さん連れの来訪時に設けたキッズスペースの様子。

コロナ禍が長期化する中、難民の方々の就労も厳しい状況が続いています。就労資格のある難民の方々が何とか生活の術を得られるよう、履歴書の作成から面接の練習、会社説明会の同行などのきめ細かい支援を行ってきました。また、就労してからもそれぞれの苦労があるため、定期的に電話をするなど、就労後のフォローも積極的に行っています。先日、会社側から「日本語力には改善の必要がある」と言われながらも就職できた方は「毎日仕事が終わってから日本語の勉強をしています。早く日本語を上達させ、仕事にも慣れるよう頑張ります」と話してくれました。

また、難民を取り巻く制度の改善に向けても根気強く取り組んでいます。夏の参院選に向けてマニフェスト要望書を作成し各政党に送付したり、入管法改正案の再提出の可能性を踏まえ、問題点の指摘を議員の勉強会で行うなど、様々な働きかけを行ってきています。

日本に逃れてきた難民の方々を取り巻く状況が厳しさを増す中、難民の方々が安心して暮らせる社会を目指し、この秋以降も、難民お一人おひとりへの支援と社会への働きかけを続けていきます。

この夏の支援実績(期間:2022年7月1日~2022年8月31日)

・事務所や収容所等での相談件数 180件
・電話やメールでの相談件数 628件
・シェルター・宿泊費提供件数 30件 (期間前からのシェルター提供を含む)
・物資の宅配数 126個(支援事業部・定住支援部の支援を含む)

この夏いただいたご支援

・ご寄付の総額:10,875,663円(732件)
※ 夏の寄付の案内開始(2022年7月1日)から2021年8月31日まで
(同期間にいただいた一部の大口寄付を除きます。)

いただいたご寄付をもとに、難民の方々への直接支援のほか、政策提言や広報活動など、当会の事業全体に取り組んでいます。温かいご支援に心より感謝いたします。

※難民支援協会の最新ニュースレター(vol.25/2022年9月号)はこちらから