活動レポート

【夏の支援レポート】依然として続く困難な状況に向き合い、難民の方々への支援と 社会への働きかけを続けています

     

    この夏も、難民支援協会(JAR)には日本に逃れてきた多くの難民の方々が相談を寄せています。

    母国を逃れざるをえなかった理由はそれぞれ異なり、紛争から逃れてきた方もいれば、民主化のために活動したことや、性的マイノリティであること、国で禁じられている宗教を信仰していることなど、様々な理由から迫害を受けた方々もいます。

    しかし逃れた先の日本で難民認定されず、もしくは審査の結果が出るまで長年待たされる人が多くいます(難民申請の結果がでるまでには平均4年以上1、長い場合では10年以上かかります)。さらに、収容や母国へ強制送還されるおそれがあることに不安を抱え、先の見えない日々を送らざるを得ない状況が起き続けています。

    やっとの思いで母国から逃れてきた方々が、今も、ここ日本で困難に直面しています。

    私たちが相談を受けている方々の状況について、最近の相談事例からご紹介します。

    Case 1:母国で少数民族として政権からの迫害を受け、日本に逃れてきたAさん【東アフリカ出身】

    来日後3年が経ちますが未だに難民申請の結果が出ず、先の見えない暮らしに苛立ちを覚えています。

    来日前から糖尿病を患っていましたが、健康保険に入ることができず、通院費を払うこともできないため病院に通うことができていませんでした。さらに、健康的な食事もできていなかったため、糖尿病が重症化してJARに相談がありました。

    無料低額診療事業を行っている病院を紹介し、治療により現在は体調は落ち着いていますが、他の国に逃れた友人が難民認定され安定した職についていることを聞き、「なぜ自分はこのような状況から抜け出せないのか」、と大きな失望を抱えています。

    Case 2:母国の政府により禁止されている宗教を信仰しているBさん【西アフリカ出身】

    難民申請者への公的支援を申請しましたが、3か月待っても結果が出ず、日々の暮らしをどう成り立たせれば良いのか、とスタッフに対して憤りをぶつけることもありました。

    しかし、最低限以下の生活を強いられながらも、自身が信仰する宗教を隠さなくても良い状況にいられることへの安堵の気持ちや感謝も口にされます。

    Case 3:ジャーナリストとして母国で民主化活動をしていたCさん【南アジア出身】

    在留資格が無い状態で、難民申請の結果を待っています。就労はできず、生活する手立てがありません。母国ではジャーナリストとして活躍していたにも関わらず、日本では支援が無くては生きていけない状況に、日本に来て更なる迫害を受けているようだと訴えます。

    ※個人の特定を防ぐために、上記の内容は複数の方の事例をもとに再構成しています。

    この夏のJARの活動 ~難民の方々への支援と社会への働きかけ

    相談を寄せるお一人おひとりの状況を慎重に聞き取り、必要な支援にできる限りつなげることを続けています。また、難民の方々の困窮を生んでいる日本の法制度や社会での受け入れの仕組みを変えるべく、政策提言や社会への働きかけにも引き続き力を入れて取り組んでいます。

    難民の方々への支援

    ✔︎ 医食住についての相談に個別に応じ、支援する:

    写真:提携団体からの協力により、食品も多様になりました。

    日々の食料に困る方へ、米、パスタや缶詰などの他、新鮮な野菜や果物の他、アフリカの伝統的な食材やハラル認証食材なども提供しています。 困窮し光熱費を払えなくなってしまった方へは生活をつなぐための費用を支給しています。体調不良を訴える方には受け入れてくださる病院を探し紹介したり、病院に同行するなどしています。

    ✔︎ 難民申請や在留資格についての法的な相談に対応する:

    初めて難民申請をする方への情報提供のほか、難民申請中で入管から面接に呼ばれた方へは、事前に面接を受けるにあたっての助言もしています。一方、ミャンマーやアフガニスタンから逃れてきた方々へは日本政府が国籍ごとに特別な措置の適用を発表していますが、先の見通しが立たない状況が続いており、不安の声が寄せられています。

    ✔︎ 経済的自立のため、就職前から入社後までの支援をする:

    難民申請中で就労資格のある方に対して、就職活動の支援や入社後のフォローなどを行っています。コロナ禍でこれまで以上に外国人の就職が厳しくなる中、何とか職を得てもらうために応募先の開拓、応募資料の作成支援、面接の練習、会社説明会への同行、日本の企業文化についての説明、日本語学習の補佐など多岐にわたる支援を続けています。

    ✔︎ 地域社会の中で安心して暮らせるための支援をする:

    難民の方々が暮らす地域社会の中で孤立せずに暮らしていけるよう、特に難民の集住地域の自治体や学校、病院などに働きかけを行っています。コロナ禍での災害に備え、難民をはじめとする外国人に適切に支援が届くよう勉強会の実施、医療関係者のための勉強会や、病院と協働でのワクチン予防接種なども実施しています。

    社会への働きかけ

    ✔︎ 難民が適切に保護される法制度を目指し、働きかける:

    夏の参院選に向けてマニフェスト要望書を作成し各政党に送付したり、入管法改正案の再提出の可能性を踏まえて問題点の指摘を議員の勉強会で行うなど、難民を取り巻く制度の改善に向けて取り組んでいます。

    ✔︎ 難民受け入れへの理解と共感の輪を広げる:

    ウクライナ関連の報道により、難民について、多くの方々からこれまでにないほどの問い合わせを受けています。国籍を問わず、様々な国や地域からの難民の方々へ支援の輪が広がるよう、メディア出演、SNS発信、イベント実施などを通して社会への働きかけを行っています。

    皆さまへの夏のご寄付のお願い

    このような難民支援協会の活動の大部分は、皆さまからのご寄付によって支えられています。

    もしご支援いただければ・・

    ご支援によって、日々の難民への直接支援や社会への働きかけを含む、難民支援の活動全般を続けることができます。

    ここ日本で、困難な状況に置かれている難民の方々を支えるJARの活動を今後も継続できるよう、8月末までに、皆さまからの温かいお力添えをお願いいたします。これまでも、すでに多くの方からご理解・ご支援をいただいておりますことに心から感謝申し上げます。

     

    1. 一次審査の平均処理期間と審査請求の平均処理期間を足し合わせた期間[]