活動レポート

冬の支援の様子 ー長く続く困難に寄り添い、できる限りの支援を続けています

コロナ禍の出口が見えない中、支援の現場では感染対策を徹底しながら、相談を寄せるお一人おひとりの状況を丁寧に聞き取り、目の前の困難やこれから先のことについてご本人とともに対応を考え、必要な支援につなげることを日々続けてきています。支援の様子の一部をお伝えします。

毎年冬は、多くの難民の方にとって慣れない寒さが、より一層辛い季節です。さらに今年も長引くコロナ禍により、もともと不安定な生活を送っていた方々が、知人など支援してくれる周囲の方の失業や減収などにより、一層困窮に追い込まれてしまうということが続いています。

光熱費を払えない方や十分な暖房器具がない方、冬服を持たずに日本に逃れてきた方も多いため、少しでも寒さをしのげるようにと、ダウンやセーター、暖かい下着などの防寒着やカイロ、ひざかけなどを事務所でお渡ししたり、必要な方には配送をしています。

(写真)お渡ししている防寒具の例。暖かい下着もとても重宝されています。(※1)

家族と過ごす時間が恋しくなる人も多い年末年始には、通常お渡ししている食料の他に、ホリデーギフトとして、オリーブオイルやお菓子の他、故郷の味を思い出してもらえる食材やスパイスなどをお渡しすることができました。発送の際は、束の間でもあたたかい気持ちになってもらえるよう、パッケージに手作りのカードを同封したり、手書きのメッセージを添えたりという工夫も行いました。

難民の方々からは医療の相談も日々寄せられています。体調を崩された方には主に無料低額診療事業(※2)で診てもらえる病院に付き添い、診察をしていただきました。新型コロナについては、12月には感染の問い合わせは一度落ち着きましたが、オミクロン株の拡大への心配から、ワクチン接種への問い合わせも増えてきており、適切に対応できるよう情報収集を進め、一斉メールによる案内も行いまいした。

(写真)ホリデーギフトにはスタッフ手作りのメッセージカードを添えて発送しました

法的支援では、コロナ以前に日本に逃れてきた方で、難民申請を希望する方などからの新規の問い合わせが複数あり、それぞれの状況について慎重な聞き取りを行い、難民申請手続きについての説明や弁護士の紹介などを行いました。また、以前からJARに相談しながら難民申請をしている方に対しても、入管とのインタビューに際しての心構えをお伝えしたり、不認定結果が出てしまった方へは今後の相談にのったりということを続けてきています。

年末には難民認定を得られた方が花束を持って事務所に来てくださるという、とても嬉しいニュースもありました。「人生で初めて花を買った」と素敵な笑顔で話してくださり、支援をしてきたスタッフと喜びをともにしました。「難民認定された日が自分の誕生日になった」ともお話しされており、その言葉の重みを感じています。

(写真)支援のお礼として、とても素敵な花束をいただきました

一方で、日本では難民認定されるべき人がされていないという現状があり、難民の方お一人おひとりへの支援に加え、政策提言、広報活動などを通じて引き続き難民が保護される社会の実現に向けて取り組んでいます。昨年末には、入管庁が公表した資料「現行入管法上の問題点」に対し、問題を指摘して抗議する意見を提出しました。また今年1月には「難民にまつわる12のよくある質問」をまとめ、SNS等でも展開し、多くの方に関心を持っていただきました。

この冬の活動も全て、ご寄付や食料、衣類などのご寄贈など、皆さまからのご支援があってはじめて実施することができています。日頃からの温かいご支援に心より感謝いたします。引き続き、日本に逃れてきた難民の方々へ関心を寄せていただけましたら幸いです。

—–

※1 防寒具の在庫は十分に確保でき、今年の募集は締切りました。ご協力誠にありがとうございました。

※2 無料低額診療事業とは、生計困難者が経済的な理由によって必要な医療を受ける機会を制限されることのないよう、医療機関が無料または低額な料金で診療を行う事業です。