難民支援協会(JAR)で事務局長及び広報部マネージャーを務めている吉山昌です。
JARのこの夏の支援について紹介させてください。
コロナ禍が長引く中、JARでは日本へ逃れてきた難民の方々への従来の支援を続けつつ、新型コロナワクチン接種についての案内やオリンピックに向けた準備など、今行うべきさまざまな取り組みを行っています。
新型コロナウイルスの感染予防策として全国でワクチン接種が進められていますが、在留資格がなくとも接種ができるにもかかわらず、難民申請中で在留資格を持たない方や住民登録がない方には、多くの場合自治体からのワクチンの接種券は届きません。
また、自治体への住民登録がある方には接種券は届くものの、自治体によっては日本語での案内しかなかったりと、ワクチンの予約を行うことに困難を覚える方も少なくありません。
日本に暮らす難民の方々が必要な情報を入手できるよう、JARでは多言語にてワクチン接種についての情報提供を行ったり、接種についての個別の相談にも応じています。さらに、医師の協力により、クリニックでの難民の方へのワクチン接種も予定しています。
また、東京オリンピック・パラリンピック開催に伴い、この時期に再び新しく来日される多数の方々に対しての対応が必要になることを想定し、コロナの感染予防対策を講じながら多くの方の相談に応じられるよう、JAR事務所の他にも会場を設け、待合スペース・相談スペースともに十分な間隔を確保するなど、準備を進めています。
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一方、コロナ禍の影響で雇止めにあったなど、多くの難民の方から、就労についての相談が引き続き多数寄せられています。これまで難民の方が多く就職をしていた飲食やホテル関連への就職が難しくなっており、また、コロナ禍により新規募集や会社見学などが制限され、就労支援はかつてないほど困難を極めています。
継続して採用ニーズがある介護やIT業界とのマッチングも試みながら、一人ひとりの希望や適性を踏まえて企業に対して個別アプローチを中心とする継続的な支援を続けています。
そのような中、就労前準備日本語プログラムはオンラインで実施を継続しています。コロナ以前と比べて、より高いモチベーションをもって参加者全員が3か月に渡るプログラムを修了しています。
その背景には、コロナ禍で厳しい求人状況を目の当たりにし、就職機会獲得に対する切迫感がでてきたことや、コロナ禍で社会的に孤立化が進んでおり、複数で学びあう、就職に関する相談を誰かにできる場を持ちたい、という思いがあることも理由だと考えています。
今年の4月から実施した日本語プログラム第5期のオンライン修了式をちょうど昨日行いました。そこでは、参加者一人ひとりが授業の感想や就職活動への意気込みを学んだ日本語で語り、画面越しに発表者の熱意が伝わってくるほど、印象に残るスピーチを披露しました。
コロナ禍で対面で話をする機会や社会との接点が非常に少なくなったため、授業の終わりを惜しむ声が多数寄せられました。最後に、恒例となった「上を向いて歩こう」を全員で歌い、互いの出発に気持ちを新たにしました。
厳しい状況はまだ続きますが、プログラムを修了された方々が就職し、日本で希望を持ちながら生活することができるよう、JARは支援を続けていきます。
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このような私たちの活動は、皆さまからのご寄付で成り立っています。これからも活動を続けるために、皆さまのお力を貸していただけないでしょうか。託していただたご寄付は、コロナ禍の日本でさらに困難な状況に置かれている難民の方々への支援に活かします。
コロナ禍で皆さまお一人おひとりが大変な状況にある中、これまでにも、多くの方からのご支援をいただいていることに心から感謝申し上げます。