活動レポート

コロナ禍で直面する不安に寄り添って

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は、日本に逃れた難民の方々にも大きな影響を及ぼしています。日本への入国規制が始まった3月頃から新たに逃れてくる方は減っていますが、それ以前に来日した方は、通常よりもさらに不安を感じる状況のなかで日々を過ごしています。元々不安定な立場で暮らしている難民の方々の生活への影響は長く続くことが予想され、困窮する方が徐々に増えていくことが懸念されています。コロナ禍の今をどう過ごしているのか、難民の方に伺いました。

アフリカ出身のボリスさん(仮名)は2018年の来日当初から難民支援協会(JAR)の支援を受けてきました。就労資格はなく、政府からの難民申請者向けの支援金(保護費)を受給し、コロナ禍以前には日本語教室に通って友人を作りながら日本語の習得に努めていました。
コロナ禍はその生活を大きく変えたとボリスさんは語ります。日本語教室の授業は週1回オンラインで受けていますが、友人と会うことはほとんどなくなり、外出するのも最低限の買い物をするためにマスクをして出かける程度。「社会的な生活を失うことは、元々孤独で、ストレスを感じていた自分にとってはとてもつらい。人との距離を保って散歩をするなどしていますが、早くコロナ禍が終わって、人々がみな安心して過ごせるようになってほしい」と切実に語りました。

同様の訴えはJARが支援する難民の方から多く聞いています。支援事業部マネージャーの新島が、8月に事務所を訪れたある方の様子がいつもと違ったため、「本当に大丈夫?」と聞くと、「自分の国では男性は泣いちゃいけないのに…」と涙しながら話し始めました。「コロナで外出もできず自分のことを考える時間が長い。母国に残した家族のこと、自分の今までのこと、今孤独でいることを考え、どうしたらいいのかわからない」と。新島からは、泣いていいし、今つらい状況なのだからその感情は自然なことで、そのためにJARはいるのだから用がなくてもいつでも来てくださいと何度も伝えました。なかには感染への不安が募り、一歩も家の外に出られなくなったという方もいます。平時でも孤立しがちな難民の方にとって、コロナ禍の状況は追い打ちをかけています。

ボリスさんはJARのスタッフと週に1~2度メールや電話で連絡を取っています。事務所での面談の予約をしたり、通院している病院の手配をしたり、感染予防の情報について聞くことなどが目的です。「JARはずっと私のためにそこにいる。JARのスタッフたちがいる事務所に行くのは嬉しい。私のような難民の人々のために、この仕事をどうか続けてほしい」と話してくれました。先行きが見えない中、JARは難民の方々とともに、これからも新たな状況に向き合い、取り組んでいきます。