―自由研究を通じて、あなたも難民支援に参加しよう!―
あなたは難民についてどれくらい知っていますか?
もしかしたらよく分からないという人もいるかもしれません。
難民問題に興味がある人に向けて、世界の難民の状況や、日本に逃れてきている難民について、分かりやすくまとめました。
自由研究などでさらに詳しく学びたい人・難民を身近に感じたい人には、資料などのセットを送ります。
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では、難民問題について学んでみましょう!
難民ってどんな人?
「難民」と聞くと、自分とは違うどこか遠い存在と感じるかもしれませんが、実際はどうでしょうか?
難民とは、紛争や人権侵害などから自分の命を守るために仕方なく母国を出た人たちのことです。たとえば、こんな方がいました。
<あるシリア難民の話>
私はシリアのアレッポという街の出身です。長年、教師をしていました。妻と3人の子どもがいます。アサド政権による弾圧が激しくなる中で、ある日、町で子どもが殺されるのを目の当たりにしました。私たち夫婦は子どもを守るために、町を離れることを決意しました。ほかに選択肢もなく、迷う時間もありませんでした。最低限の荷物だけを持ち、隣国のトルコまで歩いて逃れました。祖父は高齢で体力がなく、今もシリアに残っています。
世界の難民の現状とは?
世界には、日本の人口の約半数に当たる6,850万人が母国を追われています。シリアや南スーダンなど新たな危機の頻発や人道問題の長期化により、近年、難民となる人は増えています。
各先進国が最低でも1万人以上を受け入れているのに対し、日本はたった20人しか難民認定されていません。(2017年)
毎年20人程度しか認定されないことから分かるように、日本の難民認定数は先進国と比べて非常に少ないのが現状です。
日本の難民ーどんな国からどんな理由で来るの?ー
日本には、アジア、中東、アフリカなど世界各国から多くの難民が逃れてきています。多くの人は日本を選んで来たのではなく、逃げる先が限られているなかで、ぐうぜん日本行きのビザが下りたなどの理由から来日します。
なぜ日本は認定が厳しいの?
2017年は19,623人が難民申請を行い、認定されたのは20人でした。日本では、難民認定の実務を法務省入国管理局が行っているため、難民を「保護する(助ける)」というよりは、「管理する(取り締まる)」という視点が強いと言えます。国際基準と比較すると、だれが「難民」かを決める認定基準や、公平性、透明性を確保した手続きの基準、難民の受け入れ体制などが不十分です。もうひとつの理由として、難民を治安悪化や社会のリスクとつなげるなど、難民受け入れに関する根拠のない誤解や偏見も、現状の厳しい受け入れ状況を後ろ支えしているかもしれません。
難民申請中の暮らしとは?
最低限の衣(医)・食・住もままならならず、来日直後、時には家がない状態になってしまう人がいます。難民申請の結果がでるまでには平均3年、長い場合で10年近くかかります。難民申請中は政府からの支援も不十分なため、厳しい生活を強いられる方が多いのが現状です。
難民支援協会(JAR)が目指すこと
難民が新たな土地で安心して暮らせるように支え、
ともに生きられる社会を実現する。
日本に逃れてきた難民が保護されるために、難民保護の専門集団として、難民一人ひとりの来日直後から自立に至るまでの道のりに寄り添います。
そして、難民を受け入れられる社会を目指し、個人、地域、企業、政府など、社会を構成する人たちに働きかけます。
▼さらに詳しくは、「日本にいる難民のQ&A(PDFファイル 11.2MB)」をご覧ください。
難民をさらに身近に感じたい人は、こんな研究にも取り組んでみてください!
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よくある質問
1.移民と難民の違いってなに?
一つの考え方として、国境を越えて外国に移り、一時的にまたは一生そこで暮らす人を移民とすると、難民もその中に含まれます。言葉や環境が違う移動先での経験は、「移民」と「難民」のどちらにも当てはまります。
大きな違いは、出国した理由です。移民の多くは、彼らの希望や選択によって移動しています。一方、難民は自分で望んだのではなく、命の危険などから外国への移動をしなければいけません。
もちろん、難民にもそれぞれの思いや希望があります。厳しい状況と少ない選択肢の中でも家族とともに自立して生きていくため、子供によりよい教育を受けさせるためにと、それらが叶う国や地域を目指すといった主体的なところもあります。
移民の中にも、人身取引などの人権侵害を受け、助けが必要な人もいます。
「移民」と「難民」は違う部分もありますが、その境界は常にあいまいといえるでしょう。
2.難民は貧しくて困っている人?
難民は、紛争や深刻な人権侵害などから母国を追われ逃れざるを得ない人です。
難民とは、「経済的に困っている人」と同義ではありません。難民になる前は、家があり、仕事があり、私たちと同じ日々の生活があった人たちです。
3. 難民は危険な人たち?
難民こそが暴力とテロの犠牲者です。難民の移動がテロをもたらすのではありません。
テロや戦争の恐怖が、難民となる人を生み出しているのが現実です。
たとえば、シリアから逃れている人びとの多くは、無差別攻撃によって家族や友人を殺され、家を焼かれ、国を逃れた人びとです。
4.難民は社会の「重荷」?
新たな土地で生きるために必要な支援を受けた後は、成人であれば働き、社会の中で自立していく人たちです。
平和で安全があり、人が支えあって生きる仕組みがある国が、教育の機会や高度な医療を難民に提供することも、価値ある取り組みであることを忘れてはいけません。
そもそも、命の危険から逃れてきた難民を救うのは、当たり前のことです。それは、社会の「重荷」ではなく、「責任」ではないでしょうか。