活動レポート

2010年9月26日―難民による難民の会議、「難民円卓会議」に事務局長石川えりがパネラーとして参加しました

    多様な国からきた難民が自分たちの声を届けようという取り組みで、難民自身が主催した会議「難民円卓会議」が、9月26日東京大学で開催されました。このような会議は、JARの知る限り日本で初めてのことです。会議は、第1部「教育と雇用について」、第2部「社会受け入れと統合について」に分かれており、それぞれパネリスト5名、計10名が意見を述べました。

    石川は第1部に参加し、ミャンマー(ビルマ)、アフリカ、中国、クルドの難民パネリストの発言に対してコメントをしました。1 部、2部を通じてパネラーから出た意見は主に以下のとおりです。
    ■日本語教育の重要性

    • 時給が安くパートタイムで1日10〜12時間働いているために日本語を勉強する時間がない。パートタイムの時間を減らせば外務省が条約難民向けに実施している日本語教室に通うことができるが、そうすると生活が困難になるために通うことは難しい。そもそも、人道配慮による在留・許可を得た人は外務省が実施する日本語教室に通うことができない。
    • 外務省が実施する6カ月の日本語教育の後に、継続的なフォローアップが必要。
    • 読み書きができず、子どもの学校からのお知らせなどが読めずに、遠足、学校の行事、親子参加、交代ですべき行事等が理解できないため、子ども同士、親同士で問題がおき、子ども同士でのいじめにもつながることになる。

    ■雇用について

    • パートタイムの雇用形態が続いている。正社員となり安定して働きたいが、実現しない。正規化への後押しについて国からの援助がほしい。
    • 自分のスキルを活かして働きたいが、日本ではそれが実現しない。

    ■子どもの無国籍問題について

    • 日本で生まれた子どもを出身国の大使館に届け出ることは当然できず、日本では出生によって国籍が付与されるわけではないために無国籍状態になっている。来月17歳になる子どもも、産まれたときから無国籍状態で、その現実に立ち向かわなくてはならず、親としてはずっと悩んできた。

    ■多言語による情報提供の必要性

    • 妊娠・出産をする人も増えており、母子手帳をビルマ語に翻訳していきたい。
    • 労働に関するトラブル等で泣き寝入りすることが多く、適切な情報がほしい。

    ■日本社会との関わり

    • 日本社会へ労働だけではなく自身の能力を使って恩返しがしたい、貢献したい。(これは非常に多くの声として紹介されました。)

    ■難民認定について

    • 難民認定手続き中に収容をしないでほしい。
    • アフリカ出身、中国出身の難民の認定が非常に少ないと思う。

    上記の発言を受け、石川は、雇用については政府の雇用開発援助の補助金の中に難民も位置付けられるようにすることを提案し、また無国籍状態や難民認定手続き等法的な面からもさらに改善が必要であることを指摘しました。
    最後に、来賓の中川正春衆議院議員が参加され、同議員が文部科学副大臣の際に取り組まれた子どもたちのための日本語教育や公立学校での受入体制の紹介をされたほか、今後、包括的に外国人への支援政策に取り組んでいく必要があることを話されました。
    JARとしては、今後も、難民によるこの取り組みが継続することを期待したいと思います。