難民が適切に保護され、受け入れられる
制度の実現を目指し、
政府や国会に
政策を提言します。
適切な制度の実現と運用を目指して、関係者や市民団体とのネットワークを構築し、国会議員・各省庁等に働きかけるなど、難民支援・保護制度の改善に取り組みます。
事業紹介
難民申請者の「保護費」へのアクセス改善に向けて
生活に困窮する難民申請者を対象に、政府は「保護費」の支給を行っています。2023年の難民申請者数の増加を受け、公的支援である保護費へのアクセスがこれまで以上に悪化する事態が発生しました。JARでは、保護費の受給までの待機期間が長期化していることや、受給に向けた審査がほぼ停止状態にあることをいち早く認識し、他の支援団体と連携しながら、予算措置を求めて政府や国会への働きかけを行いました。
2023年11月に成立した補正予算において、保護費関連の予算が初めて盛り込まれることとなり、保護費の審査が再開し、待機期間は徐々に縮小しました。政府による2023年度の公的シェルターの提供者数は過去最多となり、保護費の受給者数も一気に増加しています。JARによる住居支援の数が公的支援を上回る状況は続いていますが、一定の改善がみられたと捉えています。
しかし、2024年4月以降、安定した収入や職を得る前に保護費の支給が打ち切られるケースや、住居費の減額により、安定した住居の確保が困難となる事態が発生しています。その時々の予算の有無や来日時期にかかわらず、難民申請者の生きる権利が確実に保障される制度が構築されなければなりません。今後も保護費の改善に向けた働きかけを行います。
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2023年「改正入管法」の施行に向けた対応
2023年6月、日本で暮らす難民の保護の悪化につながる内容を多く含む「改正入管法」が成立しました。JARでは、1年後の全面施行に備えて、他の支援団体や弁護士、国会議員と連携し、情報収集や政府に対する課題提起を行いました。
3月には、政府から「施行規則」の案が提示されました。難民申請者の送還に関する手続きの適正性が十分に確保されておらず、対象者の権利を保障しないかたちで監理措置の運用が検討されているといった課題について、パブリックコメントを提出し、具体的な改善策を提示しました。また、改正法に対する社会の関心が薄れないよう、メディアへの働きかけや発信を継続しています。
2024年6月から改正法が施行され、難民申請者への悪影響を最小限にするための一層の取り組みが必要です。支援現場と連携し、難民申請を複数回行っている方に対する法的支援の拡充や、法改正に関する情報提供を行っています。
2023年の国会での法案審議は、現行の難民認定制度の課題を広く社会に共有する機会となりました。法案と共に採択された附帯決議では、制度の具体的な改善策が提示されています。その実現を求めると共に、難民として認定されるべき人が認定される制度の確立に向けた働きかけを引き続き行います。
※ 2023年度年次報告書より