夏に入り、難民支援協会(JAR)へ生活支援を求める難民が急増しています。
JARから難民への生活支援金の7月の支給額は前月から倍増の110万円、8月も16日現在で、既に50万円を越えています。
日本にいる難民申請者にとって、唯一の命綱ともいえる政府の生活支援金(保護費)。しかし、近年の難民申請者急増に伴い、予算が足りず、困窮する難民が増えています。また、保護費が支給されるまでの待機期間が長く、生活の糧がない難民は、非常に困難な状況に置かれています。待機期間は、短くても1ヶ月、長くて4ヶ月ほどに及びます。
さらに、4月から支給に関するガイドラインが変更になり、支給対象者が限定されるようになりました。具体的には、2回目以降の申請者に対する支給が原則としてなくなり(*1) 、その結果、病気を抱える人や、乳幼児や子どもを持つ家族であっても、一律に打ち切られる事態になっています。
突然の制度変更の影響で、JARには、「今日寝る所がない」「食べる物がない」「病院に行くお金がない」という難民からの声が続々と寄せられています。家がない相談者への支援は、生活費に加え、ゲストハウス代等も支援し、保護費支給までの数ヶ月間を生き延びられるよう、なんとか繋いでいます。
このような難民にとって厳しい状況の時こそ、「日本の難民が食べたり、寝たり、働いたりする、そんな当たり前の生活支援をする団体」という、JARの活動指針を改めて心に刻み、スタッフ全員は日々懸命に対応しています。
JARでは、難民が自分らしい『花』や『実』を咲かせられるような環境づくりとして「夏の寄付キャンペーン」を実施しています。皆さんに「土」や「水」や「太陽」の存在となっていただき、最低限でも難民の生活を支えられるよう、ご協力をお願いいたします。
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1回目の申請者は裁判期間中も含め支給されますが、その裁判期間中の支給は、再び難民申請中であることが条件となっています。また、裁判期間中の支給は、一審が続いている間のみの支給となっており、高裁に係属中の者には支給されません。
ケース事例
Aさん一家は、数年前、母国での迫害から、日本に逃れてきました。現在、妻と子ども2人の一家4人で暮らしています。現在、難民申請中で、難民認定は出ていません。
今年に入るまではなんとか自立した生活を送っていましたが、最近、夫であるAさんの仕事が減り、現在、政府へ保護費を申請しています。保護費を受給するためには、まずは支給する政府側とのインタビューがあります。今年6月に妻が連絡した時には、「インタビューまでには2ヶ月から3ヶ月かかる」と言われてしまいました。病気を患っている息子は、通院が必要ですが、Aさんが支払える医療費はありません。なんとか、一部を医療関係のNGOから支援してもらうことができましたが、足りない費用は滞納しています。JARからは、保護費が支給されるまでの生活費を支援しています。既に、保護費の申請をしてから、2ヶ月が経っていますが、未だ、インタビューの日程は決まっていません。Aさん一家は、不安定な日常を一日一日乗り越えながら、保護費申請の審査連絡を待っています。