活動レポート

【支援実績とご寄付のお願い】今も困難に直面する難民のために

アーメドさんのケース(アフリカ出身、仮名) 

アーメドさんは母国では、中学校の数学の先生でした。市民の生活に大きく関わる政策が突然決められ、平和的に抗議活動に参加していたところ政府から目をつけられ、狙われるようになりました。友人からも国を出ることを勧められるようになり、日本に逃れました。

しかし、成田空港で拘束、その後ずっと仮放免で在留資格を得られず、働けない状況が続きました。

当初は日本で知り合った人に紹介してもらったコンテナに住んでいたが、あまりに生活が厳しく、先も見えない中で支援団体を探し、知人に紹介を受けて難民支援協会(JAR)に繋がりました。

一人一人の尊厳が守られ、安心して暮らせるために

JARに相談に来られる方々の多くは、日本で頼る先がない状況です。母国での迫害や紛争から逃れ日本にやってきたものの、在留資格においても、生活においても、厳しい状況に直面しています。そういった中でJAR支援を求めて来訪されます。

2023年は難民申請者数が再び増加しました。認定数は過去最高となり300人を超えましたが、多くの方にとって難民認定の困難さは変わっていません。数年にわたる難民認定審査の間の生活の厳しさも、変わっていません。一人ひとり自ら生き抜こうと努力されますが、困難を乗り越えるために支援が引き続き必要です。

アーメドさんには、JARでは住居の紹介、食料の支援、体調不良の際には医療機関への紹介・同行を行い、また難民申請手続きのために弁護士の紹介も行い、難民申請中の不安定な日々を支えました。JAR以外の支援も得てJARに来るのは数ヶ月に1回となったが、入管に行く前など、JARに連絡をくれていました。

一次は不認定となり、異議申し立て(審査請求)でようやく難民認定を受けられました。来日したのは30代後半でしたが、認定された時には申請から10年近くたっていました。

これで危険の待つ本国に帰されることはなくなりましたが、失われた期間はあまりに長い。家族を呼べるようになったと喜ぶものの、安定した収入もない中で、長期に滞在できる形は難しい。

ようやく得た就労資格と、これまでのサバイバル生活の中で身につけた日本語を元に、今後の自活に向けて歩みを進めています。

2024年に入っても、引き続きJARに来訪される方は多く、週に70人から80人にのぼります。難民認定や医食住、就労、その他生活での困りごとを含め、さまざまなニーズに向き合い、日々支援を続けています。また、難民認定・難民保護の改善に向けた政策提言や広報活動にも引き続き取り組んでいます。

支援実績:2023/12〜2024/5中旬まで

相談対応 694人、3,572件

前年より若干減少しましたが、日々多くのかたが相談にこられています。日本に到着したばかりで、難民申請の情報からお伝えすることが大半です。一人ひとりの状況を聞き取り、個別の支援に繋げています。
うち、事務所での相談 1,623件、リモートでの相談1,782件

宿泊先の手配 のべ4,990泊

ホームレス状態にならないよう、特に脆弱性が高い難民の方々(お子さんがいらっしゃる家族ほか)を中心に、ホテルやネットカフェなどの空き室や、独自でシェルターを手配しています。<写真>

医療機関への同行  126回

心身の体調を崩された方、持病をお持ちの方などが医療機関で受診できるよう、受診先を探し、スタッフが同行しています。

難民支援にはとても長い時間がかかります。
皆さまからのご寄付は、一人ひとりへの支援、そして制度や社会を変えるための活動の大きな支えとなってきました。 

どうかこの夏も、日本に逃れた難民を支えるため、JARへのご寄付をお願いします。

⇩こちらからもご寄付いただけます。

今年、JARは設立25周年を迎えます。皆さまからのご支援で、ここまで続けることができました。

これまで7,000人を超える方々をJARは支援してきましたが、難民認定を得られ、かつ安定した生活を得られた方は一部で、多くは長く困難な状況に置かれ続けています。

日本に逃れた難民の尊厳と安心が守られ、ともに暮らせる社会をめざし、活動を続けます。
どうか、これからもご支援をお願いします。

認定NPO法人 難民支援協会 スタッフ一同