活動レポート

生きのびるためではなく、自分の人生を生きるためにー難民認定を受けた方のインタビュー

イスラム主義勢力・タリバンが復権し、深刻な迫害が続くアフガニスタン。2021年には約270万人が難民となっています。かつてアフガニスタンから日本に逃れ、その後難民認定を受けて日本で暮らす方に、国を離れた背景や今の思いをうかがいました。

――アフガニスタンは日本とどのように違いますか?

 アフガニスタンにも様々な人がいて、色々な生活文化があり、皆が違う見方を持っています。皆が皆タリバンのようだというわけではありません。しかし、アフガニスタン人の99%はイスラム教徒で、その多くが強い宗教観を持っています。アフガニスタンでは十分な教育が提供されておらず、女の子や女性は特に、特定の法に従わなければなりません。男性も多くの法に従わなければならず、タリバンが来てからの生活は非常に苦しいです。
 日本ではどの宗教を信じるか、あるいは信じないかを自由に選ぶことができますが、アフガニスタンで生まれたらイスラム教徒になるしかなく、それ以外の選択肢はありません。他の宗教について調べることさえも禁止されています。

――国を離れようと思ったのはなぜですか?

 第一の理由は、安全でないからです。アフガニスタンを含む多くの場所では、そもそも安全がどういうものなのかすら、多くの人たちが知りません。タリバンの考え方を受け入れず、その結果殺されることもあります。
 第二の理由は、私の生き方、生活様式や夢など、すべてのことにおいて、社会や他の人と考え方が違っていたからです。私は子どもの頃に生き方を変えました。その考え方や生き方を続けていたら、いつか殺されるかもしれません。

――いつ頃、母国を去ろうと決めましたか?

 子どもの頃から、ずっと外へ出る方法を探し続けていました。孤独でした。誰も信用できないし、外へ逃げる方法を毎日一人で探し続けました。
 タリバンが政権を掌握する以前から、アフガニスタンのパスポートは世界で最も弱いパスポートで、どこにも行けない、ただの紙切れと同じだったので、外国へ行って助けを求めるのはとても難しいことでした。私は不法入国ではなくビザを持って入国しましたが、日本に来るのは本当に本当に大変でした。実際に逃げる先を探し始めてから今にいたるまで、10年くらいかかりました。

――日本に来てみてどうでしたか?

 (来日前に)日本のことや日本の文化について読んだり見たりしていた時は、日本はいいところで、いい人もたくさんいるんだろうな、くらいにしか考えていなかったのですが、実際に来日してみると、その想像を超えていました。もし天国が存在するなら、日本は天国のようなところだと思いました。難民申請をするのはとても時間がかかりましたが、その間多くの人が自分を支えてくれ、そのおかげで難民認定を受けることができました。

――難民認定を受けた時は、どう感じましたか?

 マンガでは、別世界に行く話がよく出てきます。たとえば、目が覚めたらまったく違う世界にいる、というような。私にとってはそのような感覚でした。難民認定されたと入管の職員に聞いた時、新しく生まれ変わり、新しい生活・新しい機会が与えられたと感じました。
 生きのびる(survive)ためではなく、自分の人生を生きる(live)ために生きることができる、新しい人生。それまでは毎日、毎秒、生きのびることに必死でした。難民の多くが抱える、寝る場所がない、食べるものがない、入管からの結果を待たなければならないといった問題も、行きたいと願っていたところに来ることができたと思えば、私にとってそこまで苦痛ではありませんでした。でも、難民申請中はここにいられる保障はありません。

 日本の人たちには、まずは心の底から感謝したいです。どううまく言葉にすれば良いかわからないですが、とにかくありがとうと言いたいです。
 難民支援協会や政府を通じて多くの組織が難民を助けていますが、それは多くの日本の人たちが彼らを支えているからです。日本の皆さん一人ひとりのおかげで、良い社会ができている。難民を支援していることは、人の命を救っているということです。とにかく、私の命を救ってくれたことに感謝しています。

 日本で(人生を全うして)死ぬまでの間、日本のために何か良いことをしたい、これが私の目標です。私が亡くなった時、日本が救った1人の人が日本に良い影響を与えてくれたと、ほんの小さなことでも思ってもらえるようにしたい。
 今の夢は、アニメを作り、自分のこの長い旅の中で見てきた人々のことを伝えることです。伝えることで、誰かの考え方を変えることができるかもしれないから。新しく想像することができるし、新しい人生を歩むこともできるし、もっといい世界を作ることもできる。
 道のりは長いと思いますが、いつか必ず実現させたいです。

※このインタビューは、2022年6月に行われた「世界難民の日2022:難民に心を寄せてーRefugees and “We” Talk」の動画をもとに、再構成したものです。個人の保護のため、記載に配慮しています。

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