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[特集]日本の難民認定手続き-厳しさの意味を探る

    28人。2016年の日本の難民認定数です。紛争や人権侵害によって難民となる人は年々増え、6,530万人と第二次世界大戦以降最多となりました。欧州を目指して命を落とす人が絶えない地中海で救助を続けるイタリア、大規模な難民受け入れに挑むドイツ、チャーター便を飛ばして25,000人のシリア難民を急遽受け入れたカナダ―。一国では解決できないグローバルな人道問題として、国際社会の協調と解決策の模索がいっそう求められている今、日本の難民受け入れ数は条約加入以来、大きな変化がありません。​「​難民​」​は、日本にほとんど逃れてきていないということなのでしょうか?​ 本特集では、日本の難民認定を極端に狭めている制度面の課題と当事者の声を通じて、厳しさの意味を探ります。

    《目次》
    1. 日本の難民認定はなぜ少ないか?-制度面の課題から
    2. JARの法的支援-最適な選択のためのカウンセリング
    3. 日本で「小さな希望」を得るまで-イベンジェさんの話

    1. 日本の難民認定はなぜ少ないか?-制度面の課題から


    「日本は難民認定が少なすぎる」 「いや、数の問題ではない。ちゃんと審査をやった結果が少ないだけだ」難民認定のあり方をめぐり、弁護士や支援団体、法務省など立場の違う関係者の間でよく繰り広げられるやりとりです。現実の認識は立場によって異なりますが、取り組むべきは、助けを求めて逃れてきた難民が現実に助けられていないという問題です。日本の難民認定はなぜ少ないか?制度面の課題を解説します。こちらから

    2. JARの法的支援-最適な選択のためのカウンセリング


    日本の極めて厳しい難民認定に対して、難民支援協会(JAR)は保護されるべき人が難民認定を得ること、そのために必要な協力者を増やすことに取り組んでいます。「3日前に日本にきました。国に帰ることができないのですが、どうしたら良いですか?」
    JARの支援はこのような電話がかかってくるところから始まります。なかには、焦りから半ばパニック状態で、帰国したら待ち受ける恐怖について、せきを切ったように電話先で語り始める人もいます…続きはこちらから

    3. 日本で「小さな希望」を得るまで-イベンジェさんの話


    アフリカのコンゴ民主共和国から日本に逃れてきたイベンジェさん(仮名、40代男性)が、日本政府の難民認定を受けた。母国の政府を批判したことで逮捕・勾留され、激しい拷問を受けた末に、家族を残して母国を逃れてきた。2016年の日本の難民申請者は10,901人、一方、認定者は28人。認定率が1%にも満たない狭き門を通過したことになるが、認定に至るまで、イベンジェさんは気の遠くなるような長い道のりを静かに歩いてきた…続きはこちらから