解説記事・声明等

2014年の難民認定者数11人の発表を受けて

    法務省より2014年の難民認定者数が発表されました*(2015年3月11日付)。申請者数は5,000人と過去最多を更新しましたが、認定者数は11人と著しく少ない人数に留まりました。難民支援協会(JAR)としては、依然として低い難民認定の水準を大変遺憾に受け止めています。
    * 法務省入国管理局ウェブサイト
    平成26年における難民認定者数等について(法務省入国管理局・平成27年3月11日)


    JARが現場で支援を通じて難民の置かれた状況を見る限り、この11人という数字は極めて少ないと感じます。認定数の過多は手続きの結果に過ぎませんが、主要な難民条約締約国における認定者数を比較をすると、日本の難民認定制度の厳しさが際立ちます。たとえば、2014年、韓国では2,896人の申請がありましたが、94人が難民として認められています*。その他、ドイツは11,000人、英国は9,500人、フランスは9,000人、米国は21,000人を難民として認定し、受け入れています**。
    申請者が急増している背景として、難民申請の「偽装」「悪用」等が関係しているという報道がありますが、いかに取り締まるか、という視点ばかりが強く目立つことに強い懸念を覚えます。2月13日のリリース「難民申請の「偽装」「悪用」「濫用」等に関する報道について」でも言及しましたが、難民認定制度は、迫害から逃れてきた人を守る貴重な仕組みです。出入国を「管理(取り締まる)」する視点ばかりが強調されるのではなく、難民を「保護(助ける)」する視点をしっかり持ち、保護されるべき人が適切にかつ迅速に保護される制度でなければなりません。
    日本は、1981年に難民条約に加入して以来、難民保護を国際的に約束しています。国際基準に見合った適正な難民認定制度、さらには庇護希望者・難民の生活面や社会統合の課題を解消する制度・施策の実現を含む、包括的な難民保護制度の早期確立を、あらためて強く望みます。
    *韓国における行政情報公開請求の結果(難民課-265、2015115)
    **UNHCR global Trends 2013
    ***2014年の日本の難民認定状況に関する声明(全国難民弁護団連絡会議)
    ▼関連報道▼
    去年の難民申請5000人 認定わずか11人/NHKニュース 2015.3.12


    4/20(月)Refugee Talk-難民を学ぶ夕べ

    法的支援の現場から(スピーカー:支援事業部 田多晋)

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