2013年4月8日
認定NPO法人 難民支援協会
認定者、人道配慮*ともに減少
難民支援協会(JAR)は、法務省入国管理局「2012年(平成24年)における難民認定者数等」の発表(2013年3月19日付)における、認定数の少なさ、及び人道上の配慮により在留が許可された人の大幅な減少を大変残念に受け止めています。
*人道配慮:人道上の理由から在留が認められた者
■実質では一次審査で認定2人
難民認定者18人のうち、一次審査での認定は5人、異議手続きでの認定は13人でした。一次審査での認定者は5人ですが、弊会が現場で把握する限り、うち3人は難民不認定取消訴訟で勝訴後の認定です。よって、入国管理局の審査による一次手続きでの認定者数は、2人となり、非常に少ない人数にとどまっています。
*2012年難民認定申請の結果について
難民申請者 2,545人(前年比678人増・約36%増)
認定者数 18人(前年比3人減)
人道配慮による在留許可数 112人(前年比136人減)
■長期にわたる審査期間
難民申請の結果が出るまで現状では、平均2年から3年ほどかかります。法務省では長期間かかる状況に対し、難民として認定されるべき者の法的地位の早期安定化を目指し、2010年から難民認定審査にかかる平均審査期間(一次審査のみ)の目標を6ヶ月と定め、順次経過を公表しています(詳細はこちら)。その結果、審査期間は現在では6ヶ月以内に短縮されました。しかし、異議申し立て期間が長期にわたり、一次と異議の審査期間を合わせると、引き続き難民申請手続きが長期にわたる状況は解消されていません。
■仮滞在許可における厳しい条件
2012年に仮滞在許可申請を行ったのは701人に対し、許可を得たのは74人(許可率 約11%)にとどまっています。仮滞在とは、非正規に滞在している難民申請者が一定の条件の下で滞在が許可される制度です。仮滞在が認められれば、申請期間中の収容がなくなることから、申請中の難民を保護する重要な制度です。しかし、仮滞在が許可される条件が厳しく、実質的には十分に機能していないのが現状です。
法務省の今回の発表のみだけでは、現状について明確に言及できない部分もありますが、日本に保護を求めてくる難民が増加する中、難民認定者に加え、人道配慮による在留許可数が大幅に減少したことも、大変残念な結果です。2012年の1年間で先進諸国における庇護申請件数は8%増加しました(UNHCR・2013年3月21日記事)。国際的社会において各国が責任を持って難民保護を担う中、アジアで数少ない難民条約に加入している日本への期待は大きくなっています。
難民支援協会では、引き続きNPOとして、難民保護制度や受け入れの改善に向け、取り組んでまいります。
関連記事:
・2012 年の日本における難民認定者数等に関する声明(全国難民弁護団連絡会議)
・発表統計のまとめ
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