ニュースリリース
2024年12月26日
認定NPO法人 難民支援協会
柳井正 株式会社ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長から
日本に逃れてきた難民への支援に昨年に続き寄付をいただきました
認定NPO法人 難民支援協会(JAR)は、柳井正 株式会社ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長から、日本に逃れた難民への緊急生活支援のために8,000万円のご寄付をいただきました。
今回の寄付は、主に来日直後の難民申請者で、政府の公的支援(保護費)にアクセスできず困窮する方々への支援に活用します。対象となる方は、単身で逃れてくる方に加え、子どもを含む家族世帯や母子世帯など、特に脆弱性の高い方も含まれます。昨年に続いてのご寄付となります。昨年はご寄付を受けてより多くの方へ支援を届けることができましたが、事態の深刻さが大きく改善しないことなどを受け、継続支援をいただくこととなりました。
政府から支給される難民申請者向けの公的支援(保護費)は、受給までの待期期間が長いことなどの課題があります。現状では、保護費の申請後、実際に受け取れるまでには最低数か月かかります。
こうした状況を受け、JARは生活困窮者支援や貧困問題に取り組む他団体との連携や、保護費の予算増額を政府に求める働きかけを強化しています。そして、12月17日に成立した国の補正予算において、保護費の追加予算が確保されました。今年の取り組みだけでなく、これまで積み重ねてきた関係機関への働きかけの結果でもあります。
しかしながら、保護費予算全体の額は依然として難民申請者のニーズを十分に満たしておらず、今後も制度の改善を求めていく必要があります。また、保護費が難民申請者のセーフティーネットとして十分に機能していない中、JARを含めた民間団体が制度の肩代わりをする状況は続きます。
難民申請者を支える支援体制や保護費増額について改善の兆しがみえた2024年でしたが、今後も、難民への緊急支援ニーズは増え続けると予想されます。来年は、アフリカ開発会議(TICAD)や大阪・関西万博の影響で、訪日外国人の増加が見込まれ、難民として逃れてくる人も増えると思われます。こうした状況を見越して、今回柳井様から継続支援をいただきました。
制度的に取り残されている社会課題の一つである「日本の難民問題」に対して、多大な寄付をいただきましたことに心より感謝しつつ、日本に逃れてきた難民が再びここ日本で命の危険にさらされることがないよう、支援に取り組んでまいります。
【保護費とは】生活困窮が認められた難民申請者への政府による公的支援。インドシナ難民受け入れ後、1981年に日本が難民条約に加入したことがきっかけで1983年から実施が開始された。業務は、政府(外務省)からの委託で、財団法人アジア福祉教育財団の難民事業本部(RHQ)が実施している。来日直後で就労許可も住まいもなく、生活が困窮する難⺠申請者にとって、唯一の公的⽀援であり、セーフティーネットである。しかし、保護費が支給されるまでの待期期間が長く、その間にホームレスに陥ってしまう人がいるという深刻な課題がある。
▶詳細はこちら
難民支援協会解説記事:難民申請者はどう生きてゆくのか?
―公的支援「保護費」の課題と生存権
https://www.refugee.or.jp/report/refugee/2023/10/hogohi/
■ 柳井正様からのメッセージ
紛争や迫害で故郷を追われた人の中には、日本を目指す方々もいます。しかし、来日直後の難民申請者の中には、十分な公的支援を得られず、厳しい環境に置かれている方々が多数います。日本に来た難民の方々が日本社会に溶け込み、能力を発揮して日本で活躍できるようになってほしい。そのためには、来日直後の苦しいときに、住居や医療へのアクセスなど生活基盤をしっかり整えるためのセーフティーネットが必要です。このための緊急的な支援が引き続き重要と考え、寄付をいたしました。より多くの企業、個人の皆様がこの問題に関心を持ち、課題解決に向けてともに取り組んでいただけることを願っています。
■ 難民支援協会代表理事 石川えりからのメッセージ
昨年に引き続き、柳井正様から多額の寄付をいただきましたことに心より感謝いたします。日本では、難民問題が喫緊の社会課題であるにもかかわらず、十分に認識されていない現状があります。その中で、柳井様が日本における難民問題に注目し、経済界のリーダーとして先陣を切ってご支援くださることは、私たちにとって大きな励みであり、社会にも大きな影響を与えていると感じています。今後も、一人ひとりへの難民に必要な支援を届けつつ、制度改善に取り組むとともに、より多くの方々に関心を持っていただき、支援の輪を広げる努力もしてまいります。引き続き、皆さまのご協力をお願いいたします。
■ ファーストリテイリンググループと難民支援協会(JAR)の関係
2008年以降、衣類の寄贈等を通じてご支援をいただいています。2016年より一般財団法人(現公益財団法人)柳井正財団(現在は一般財団法人ファーストリテイリング財団から)の支援をいただき、難民申請者に対する就労に向けた日本語等の訓練を行うプログラムを開始しました。また、株式会社ファーストリテイリングの日本でのRISEプログラム(難民の雇用)に、JARから難民の人材紹介を行なっています。
<認定NPO法人 難民支援協会(JAR)について>
1999年設立。「難民の尊厳と安心が守られ、ともに暮らせる社会へ」をビジョンに活動する。日本に逃れてきた難民を対象に、難民申請の手続きや、来日直後の生活(衣食住や医療)、企業での就労、地域との関係づくりの支援を行う。政策提言や広報活動にも力を入れている。年間の来訪相談者数は約1,000人(約70か国)、相談件数は9,000件以上(2023年度実績)。 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のパートナー。
https://www.refugee.or.jp
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本件に関するお問い合わせ先:
認定NPO法人 難民支援協会 広報部 田中
info@refugee.or.jp tel: 03-5379-6001