報道関係者各位
2014年12月4日
認定NPO法人 難民支援協会
ホームレス状態となる難民多数
2014年12月4日時点で、2014年の日本での難民申請者数が昨年を上回る4,000人を越えたことが分かりました(認定NPO法人難民支援協会調べ, 表1)。4年連続での難民申請者の急増を背景に、昨年に続き、多くの難民申請者がセーフティネットから抜け落ち、ホームレス状態となり厳しい状況に置かれています。
認定NPO法人難民支援協会(東京都新宿区、代表理事:石川えり)では、相談のために来訪する難民への支援を通じて各入国管理局での難民申請の状況を把握しており、その結果2014年12月4日時点ですでに難民申請者数が4,000人を越え、過去最多を記録した昨年を越えていたことが分かりました。
<2014年 難民申請者数4,000人の内訳>
東京入国管理局:約3,500件/名古屋入国管理局:約500件/大阪入国管理局:約40件
※難民申請が可能である成田空港等での申請者件数は含まれておりません。
※本件数は、当協会、名古屋難民支援室(DAN)、RAFIQ(在日難民との共生ネットワーク)に来訪する難民への支援を通じて把握しました。
路上生活に陥る難民多数
当協会には、日々50件ほどの電話や来訪による相談が難民申請者から寄せられています。持ち金が尽き、ホームレス状態で来訪し、シェルター(一時避難所)を希望する人は、毎月5〜10人ほどになります。冬季に限らず、今年は、恒常的にホームレス状態に陥る難民申請者からの相談が絶えない状況です。特に寒さが増すこれからの季節は、路上で夜を過ごすことは命の危険が伴うため、これまで以上に緊急支援が求められます。
日本に逃れてきた難民申請者の困窮の背景には、結果が出るまで平均3年間かかり、その間の公的支援が十分ではない現状があります。公的支援を得るための審査にも長期間かかり、通常数ヶ月におよびます。また、難民申請時に正規の在留資格がない場合は、就労することが認められず、自力で生きる糧を得ることができません。
韓国では新難民法制定
一方、1992年に難民条約に加入した韓国では、この間、難民保護において画期的な変革がなされています。日本を模して制定された韓国における従来の難民認定制度は、日本と同様に入管法の中に規定されており、難民保護とは相反する「外国人の出入国管理」という視点に基づく法律の中に位置づけられたことによって、審査機関の独立性の欠如や適正手続きの不十分な保障、重すぎる立証責任など、多くの課題を抱えていました。このような状況を打開するため、アジア地域で初となる独立した難民保護法が可決され、昨年7月に施行されました。市民社会側が提示した当初の案と比較すると課題は残しつつも、難民認定制度の改善に加え、申請者への処遇改善や、認定者への社会保障、子どもの教育等、社会統合の観点からの施策も多く盛り込まれました。なお、韓国法務部の発表によると、今年1〜10月までの難民申請者は2,176人、認定者は61人となっています *。
制度改善に向けて
難民申請者が急増し、過酷な状況に置かれている状況を改善するためには、現在の制度改善が必要です。当協会も加入している、難民支援に関わるアンブレラ団体であるNPO法人なんみんフォーラム(FRJ/東京都中野区、代表理事:大森邦子)は、難民保護法の制定を提案 **しており、韓国で実現されたような難民認定制度や難民申請者の生活保障、社会統合などを法制化することを求めています。
世界では紛争やさまざまな人権侵害から難民となる人が絶えません。なかでもアジアは多くの難民が発生している地域です。難民条約に加入し、難民を保護する枠組みがある日本ができることは少なくありません。命からがら逃れてきた日本において、難民申請の結果を待つ間に再び厳しい状況に置かれている人たちがいること、また、日本の厳しい認定制度のもと、適切に保護されていない人たちがいることについて、強い懸念を表明するとともに、引き続き課題解決に向け取り組んでまいります。
どうぞ、ご取材をお願いいたします。
* Yonhapnews,「韓国の年間難民申請者 初めて2000人超え」 http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2014/11/28/0200000000AJP20141128001900882.HTML(2014年12月3日)
** FRJウェブサイト,「難民保護法検討のための論点整理」http://frj.or.jp/news/news-category/form-frj/135/ (2014年12月3日)
難民がこの冬を無事に越すことができるように
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認定NPO法人 難民支援協会 広報部 田中
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