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2012年2月16日-衆議院予算委員会にて第三国定住に関する質問および答弁

    本日の衆議院予算委員会にて、みんなの党山内康一議員が、難民の第三国定住受け入れに関する質問を行い、玄葉外務大臣が答弁を行いました。
    映像は「衆議院TV」よりご覧いただけます。
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    以下は、やりとりの簡単なまとめです。
    Q 2010年度から日本でスタートした難民の第三国定住受け入れに関する外務大臣の現状認識は?
    A 多くの期待があり、私もその通りだと思う。難民問題の恒久的解決策の一つとして、国際貢献と人道支援の観点から導入を決めた。現時点での断定的な評価は難しいが、私のところにも、このままでいいのかという提言、指摘などが寄せられている。
    Q 具体的な事例として、半年間だけの日本語研修でフォローアップもないため、本人たちが救急車が呼べなかったこと、通訳の問題でコミュニケーションがうまくいかないこと、受け入れ実施を委託されたアジア福祉教育財団難民事業本部(RHQ)スタッフより「ほかの人と連絡とるな」と言われたなどの対応について。
    A 改善点はたくさんあると思う。日本語教育を含む支援のあり方について、昨年末にある方から指摘を受けて知った。支援期間も諸外国では長い。パイロット(試行)事業なので、よく検証していきたい。
    Q RHQにも、億の単位で予算が出ており、外務省の中でしっかり把握してほしい。
    役所だけではなく、地方自治体やNPOも、スキーム作りの段階から入っていく必要があり、それが欧米のスタンダードでもある。第三国定住難民を受け入れた三重県鈴鹿市のケースでは、地域コミュニティが難民をあたたかく迎えているが、これは政府のイニシアチブというより地域の自発性によるもの。にもかかわらず、RHQが抱え込んでいるとの指摘について、どう思うか。
    A 昨年末に指摘を受け、担当局長を呼んで改善できないかと指示した。その結果、さまざまな方々に入っていただいて、どう改善していくかという会を2回開いた。そこでの意見や提案を踏まえて、この事業の改善を考えていきたい。
    Q その提案というのは、なんみんフォーラムによるものではないか。それに対する政府の対応は。
    A 意見交換会を行うよう指示し、今後の改善策が議論されている。平成25年度以降の方針については、これに基づき、難民対策連絡調整会議で決定していく。
    Q 受け入れの条件が厳しい。平成20年の閣議了解では、日本社会への適応能力や、就職につけそうで、家族や子どもがいるなど、いろんな条件が付いており、あたかも単純労働力の受け入れ。本来であれば人道目的で受け入れるべきであり、条件の悪い人を一定数受け入れている国もある。
    A 定住許可条件は、家族で支えあうことで、日本社会に早く慣れることを期待している。NGOなどが入って、提言がなされており、内閣対策連絡調整会議で、平成25年度以降のありようについて検討していきたい。
    Q RHQの本部長職には毎回キャリア官僚が出向しているが、必ずしも難民支援に詳しいわけではなく、2年したら出ていく。現場の感覚からもずれるし、人件費が高い割に、パフォーマンスがよくないのではないか。独立行政法人の流れからいっても、専門家を公募で雇うのが効果的ではないか。
    A 前大臣のときに改善しようとして、H24年度から公募の参加条件を緩和した。3団体から応募があり、結果として、RHQに委託が決定した。
    RHQは、インドシナ難民を受け入れてきた実績がある。しかし、あのときは、NGOがまだ十分成長していなかったり、数が少なかったことがある。今後、第三国定住の受け入れ団体のトップのあり方については、検討していく必要がある。
    Q 一応入札にはなっているが、公募条件のスペックがほかの団体がとれないようになっている。入札の仕方を見直していく必要があるのではないか。
    また、RHQが難民支援について高い評価を受けているわけではない。インドシナ難民支援でもさまざまな問題が指摘されていたが、それが改善されないままだった。政府主導で見直しを。
    そもそも、政府機関が難民支援をやっている国は少ない。国際基準に合わせていくべきではないか。日本の状況はタイの難民キャンプで伝わり、応募が少なくなっている。
    そういったあり方を、パイロットなので検証して、見直しを期待したい。
    A よい提言をいただいたと思うので、外務省で検討したい。