2010年度よりパイロットケース(試行)として開始された日本における新たな難民受け入れ、「第三国定住」制度により、タイ国内にあるミャンマー(ビルマ)難民キャンプに暮らしていた少数民族・カレン民族3家族18人の難民が本日、来日しました。これまで、とかく難民に対して冷たいと批判されていた日本にとっても、また、今回来日する難民にとっても、新しい取り組みへの一歩を踏み出すこととなります。
1999年より日本における難民支援を専門的・総合的に行っている「難民支援協会」(JAR)は、第三国定住制度の開始および難民の来日を歓迎し、以下の通りコメントします。
1) 世界中で保護を必要としている難民、とりわけ長期間にわたって十分な保護が得られない難民の解決策として、第三国定住は大変有効であると考えます。パイロット終了後も恒常的により多くの多様な難民が日本に受け入れられるよう期待します。
2) 第三国定住により受け入れられる難民に対しては、日本政府により、現地における出国前研修および来日後約半年間の定住支援が提供されますが、難民が定住し自立して暮らしていくためには、政府や自治体、NPO、企業、市民一人ひとりなど、日本社会全体で受け入れる姿勢が必要です。そのため以下の2つを提言します。
- 第三国定住をめぐる議論をオープンに:
今回の受け入れは、その決定過程がすべて政府内の議論に終始しています。当事者である難民の経験談や支援団体など関係者の声を反映してほしいと考えています。 - 第三国定住受け入れの「ゴール」を明らかに:
新制度が「試行」であるならば、その「成功」の指標を明らかにするべきです。最終的に何を目指し、どのような状態になることが、やってくる難民と日本社会の双方にとって成功と言えるのか、明確にし、今後の難民受け入れの改善につなげる必要があると考えています。
3) 第三国定住難民と自力で日本へたどり着いた難民との公的支援の格差をなくすべきと考えます。
第三国定住難民に対しては、政府より定住支援が提供されます。しかし、人道配慮により在留許可を与えられた人への公的支援はなく、また、平均2年以上にわたる難民申請期間中はほぼ国民健康保険に加入できず、多くが就労を認められません。
JARでは、これまで2,600人以上の難民および難民申請者に対し、法律支援や生活支援を行い、近年では定住支援や起業支援としてマイクロファイナンス機関の設立なども行ってまいりました。
開かれた論議を通じ、日本にいる難民が、安心し、自立して暮らしていけるよう、JARもこれまでの経験を生かし、今後も支援活動を促進していきます。
■ご参考資料:
・外務省プレスリリース「第三国定住によるミャンマー難民の来日」 (2010年9月28日)
・難民支援協会作成 第三国定住に関する参考資料
・難民支援協会のこれまでの活動はこちらから